17

ピー・・・
そこにタイミングよく、炊飯器の音が室内に鳴り響いた。
静かに穏やかに流れていた空気が、その音によって変わる。

春は、ハッと顔をあげた。
まさに我に返った・・・。
「お米が炊けましたね、ご飯にしましょう!」

春は、赤くなった顔を隠しながら孝彦と理人から体を離した。

(なんて恥ずかしいことをしてしまったんだろう・・・。)
意識すればするほど赤くなる顔に、春は慌ててしまう。

理人は、そんな春を不思議そうに見つめた。
「はるちゃん、おかおがあかいよ?」
「あっ…ああ暑かったからかなぁ?」
えへへ・・・と誤魔化すように笑い、優人を抱き上げた。
挙動不審だと自分でも分かるが孝彦を見るのが・・・そして、自分を見られるのが恥ずかしかった。
「さぁ!ご飯だよ、ご飯!」
逃げるように立ち去る春に理人は、首を傾げたが自分も春の元へ行こうと立ち上がった。


が・・・

「たかひこしゃん、おかおがあかいよ?」
「・・・あぁ、そうだな。」
顔は赤いが、無表情。
少し不機嫌な様にも見えるのは、いつものことなのか?
理人は、うーんと先程より大きく首を傾げる。
「へんなの・・・・。」
顔を赤くしながらも、目で春を追いかける孝彦みながら理人はそう呟いた。




「お遊戯会?」
孝彦は、思わず箸をとめ聞き返した。
「はい、再来週の土曜日にお遊戯会があるんですって。」
優子先生から、プリントを預かってるんです。と、春は孝彦にプリントを手渡した。
「理人くんは、何をするのかな?」
春は、にっこりと笑いながら理人の頭を撫でる。

理人は、擽ったいのか、照れているのかもじもじと身体をくねらせる。暫くして、やっと理人は大きな声で春はの問いに答えた。

「うさぎ!」
「え?うさぎさんなの?すごーい、可愛い♪」
「かわいい?・・・かっこいいじゃないの?」
理人は、春の言葉にしゅんと落ち込んだ様子をみせた。
「かっこいいがいいな・・・。」
どうやら、可愛いはお気に召さないらしい。
(小さくてもしっかり男の子なんだなぁ。)

「かっこいいよ!うさぎさんは、かっこいいだよねー。」
「ほんと?」
「ほんとにホント!」
人が嘘をつくときは、同じ言葉を二回言うという・・・。
だが、理人には気付かれていないようだ。
「かっこいい、かっこいい。」
ニコニコとデザートのプリンを食べる理人は、かっこいいという言葉にご機嫌だ。

「えへへ、かっこいい。」
「うんうん、かっこいい!」
「はるちゃ、かっこいいのみにきてくれる?」
「うん、行きたいな。孝彦さん、一緒に見に行きませんか?」

今日はその話をしたかったんです。予定が入ってますか?と聞くつもりで孝彦をみた。

しかし、春の言葉は音にならなかった。
なぜなら・・・・
「お遊戯会とは、なにをする会なんだ?」

不思議そうな孝彦の言葉に遮られてしまったからだ。




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