歴史好き

ただそれだけなのに、まるで変な人として見られている気がする。












キャーッ!!
外では彼女たちレギュラーファンが騒いでいる。室内にいるはずなのに、なぜこうも聞こえるのか。


「…うるさい…」


そう言いつつも彼女、鷹狩みずきは教室で本を読んでいた。
…何を読んでいるのだろうか?軽く文を読み上げてみる。


『あだし野の露消ゆるときなく、鳥部山の煙立ち去らでのみ、住み果つる習ひならば、いかにもののあはれもなからむ…』


もうお分かりいただけただろうか。みずきは徒然草を読んでいる。
課題を出されたわけでもなく自主的。
勉強ではなく趣味で。


つまりは大の歴史好きなのだ。

古文ですら苦じゃない。






言ってしまえば、このクラスの女子の中でみずきは地味な方に入る。
しかもテニス部には全くもって興味がない。


そんなのでキャーッと叫ぶなら歴史の世紀の大発見で叫びたいものだ。



エジプトの王家の谷の新たな墓の発見に、それを発掘したエジプトの考古学者の人をキラキラと目を輝かせてテレビに食いついていたし、その後夕飯を食べにきた幼なじみにその一部始終を熱ーく語っていたし…


逆に歴史(特に日本史)一筋なのだ。


そんなみずきがなぜ朝早くから学校に来ているのか。

「歴史書が私を読んでるの!!」

なんて言ってみたいものだが、現実は、寝坊魔の幼なじみが毎朝朝練の遅刻ギリギリまで寝ているので、それを叩き起こさなければならないからである。


だから何時も早い。
(…悪いときには布団に引きずり込まれる…(怒))


「みずきー!おはよ〜」




(2/4)

前へ/次へ
栞を挟む

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -