ご「いやー、本当にびっくりした!まさか不良イケメンが善哉Pだとは」「俺も驚いたでー。まさか七夕がチビだとは」 「全国の低身長女子に謝れ!」 「自分も全国の不良イケメンに謝れアホ!」 なんて軽口を叩く二人は今横浜駅周辺のカラオケ店にいた。 あの後、驚きのあまり叫びそうだったみずきの口を善哉Pは塞ぎ、此処まで引きずってきたのは余談である。 元々合流後は此処へ来ることは決めていたので所謂計画通り、と言うところだろうか。 「ま、改めて自己紹介しましょうか」 軽口を止め、みずきは善哉Pを見やる。 「七夕こと、鷹狩みずきです。善哉さんに会えてかなりビックリしたけど嬉しいです」 「叫ぶ一歩手前やったしな。」 「…悪かったわね。」 「ふはっ謝らんでもええわ…財前光や。」 そう言って善哉こと財前はニッと微笑んだ。 さて、積もる話は沢山あるが今日は録音という重要なものがある。とっとと録音をしたいところだが、声慣らしをする為か何曲か歌うことにしたようだ。 これで一つわかった事がある。この二人、趣向が似ているのだ。 「ちょww善哉さんまた東方入れるの?wwwww」 「せやかてボカロも東方も好きなんやからしゃあないwwwつか自分かて同じ穴の狢やろ。」 「だってフランちゃんマジ天使なんだってばよ!…よし!こうなりゃ脳漿一緒に歌おう!!」 「ナルトwww俺は諏訪子とミクが嫁だが文句あるか(ドヤァ)?おー、ミクパートしか歌わんで?」 こんな会話を繰り広げていた。 お互い趣味が被るせいかテンションがどんどん上がっているらしく、所々草が回避できていない。 なんというか、カオスであった。 ・・・しばらくして、二人はほとぼりが冷めたのか、やっと録音の準備をしだした。 財前がパソコン関係をいじっている合間にみずきは音程の確認をしていた。先日から壊れた機械のように何回も再生して聞いていたのだが、いざ本番となると緊張して練習通りに歌えるかがわからなくなっているのだ。 頭がぐるぐる回るなか、財前の方が準備ができたらしく、みずきにずいっとマイクを手渡した。 頭がぐるぐる廻る。どうやって歌えばいいんだっけ?どうすれば音程を外さなくて済む? なんていう軽いパニックに陥っていると突然左頬が軽く引っ張られた。つい、と横を見やると財前が自分の頬をつねっているではないか(しかし、痛みはあまりなく加減している様だ。) 「あんな、自分。何緊張しとんねん。」 「だっ、だって、失敗したら「失敗してもええやん。また会って撮り直せばええんやし。」」 何を言い出すかと思えば、こんな事を言ってくれた。目を見開くみずきを落ち着かせる様に財前は手を頬から頭に写した。一瞬びくついてしまったが財前の手つきの優しさ、それにすうっと自分が落ち着くのを感じた。 「失敗とか考えんでええ。自分の好きなままに歌ったらええやん。」 俺はそれで十分や。 その後、みずきが思っていた以上に録音は成功し財前も満足げに笑った。 「上出来や。」 そういって笑った。財前は以外にも格好良く見えた。 まさかの一発OKだった為、時間が空いた二人はまた普通のカラオケに戻った。 またしても先ほどのカオス具合に二人は戻っていった。 「いやーwwwほんま七夕の声はええわ。遥々来た甲斐っつーもんがあるわ。」 「いやいや、私は褒められる物なんてないしw」 あ、メアド教えてくれんか? いいよー。善哉さんもおしえてー 財前でええわ。 なんて残り時間をグダグダと喋っているとあっという間に時間は過ぎていくもので、外に出たときはもう日が傾いていた。横浜駅に向かう中、二人は並んであるいている。 「なんかあっという間だったね。」 緊張もしたが、財前との会合はとても充実した物となった。 楽しかった!なんてほくほく顔で財前をみやると返事代わりにまた頭を撫でられた。 解せぬ、何故だ。 「・・・また、会ってもええか?」 「いいよー、また遊ぼうよ!!」 今日は本当に楽しかった。 後日、財前の原曲とみずきの歌ってみたが予想以上の反響振りにみずきが飛び跳ねたのは記すだけにしておく。 (5/7) 前へ/次へ 栞を挟む |