さん

「ーー大学」
世間一般が知るこの大学のレベルは中堅より少し上あたりである。文系の学科に特化しており其の歴史は一世紀を超えるとか。
さらにある学科に特徴があるとかないとか。

鳳はそんなに知らない。いや、一介の中学生が大学なんてテレビに出る大学くらいしか知らないだろう。
そんな大学の中へ何も知らずに入った鳳を察してみよう。
絶対に居たたまれない居心地の悪さを味わっている。実際はそれにポカーンとした表情のオプション付である。

まぁ、みずきと一緒に行きたいという願望が叶っているのだから文句すら言えないだろうが。

大学の本校舎らしき縦にデカイ建物に入るとみずきの足は迷いも無く受付と書いてあるカウンターへ向かった。恐らくみずきは何回も此処へ来た事があるのだろう、だから鳳ほど物怖じしなかったのか。
ぐるりと中を見渡すと校舎はとても綺麗だった。この校舎には事務員達が多くいるのかそこまで学生の姿は見られない。ふと、視線をずらすと窓から植え込みが見えた。だが普通の植え込みと違い妙に覆い茂っており小さな道が出来ている中には木造の建物が見えるがそれが何なのかまで分からない。

「鳳くんどうしたの?」

話が終わったのかみずきがこちらにやってきた。手には通行許可証なのか、黄色いリボンのピンを持っていた。
手渡された鳳は薄らと苦笑を浮かべると植え込みに顔を向けた。

「あそこの植え込みなにかなーって思ったんだ。」
「あそこ?あれは神殿。」
「は?」
「じゃあ行こっか。」
「えっ?鷹狩さん!?」


※ちなみにあそこの植え込みはこの学校の特徴を表すようなものである。
(実際に同じ様な大学があります。つかこの学校はその大学をイメージにしてますが悪しからず。)



みずきに着いてきてやっとたどり着いたのは研究室と言われる部屋の前だ。
みずきに何処かでまっているか、なんて聞かれたがやんわりと鳳は断った。ここまできたら鳳の物怖じさはなくなっており、興味の方がむくむくと沸き上がっていたのだ。

折角大学へやってきたのだから研究室の中を見てみたい。やっぱりテレビで見る様な豪勢な感じなのかな?
なんて鳳は考えていた。
三回ノックしてみるも、反応が見えない。一応小さな窓からは照明の光が見えているのだが何故なのだろうか。

「・・・留守かな?」
「ううん。お父さんいる。これは絶っっっっ対いるから」

コンマ1秒、なんとも早い答えである。
みずきは反応を見せない向こう側を見やり軽く息を吐くと勝手に扉を開けた。


え、


「え、ちょ、鷹狩さん!?」
「いいのいいの。」

次の瞬間、鳳の視界一面、本の山が覆い尽くした。
文字通り、テーブルにこれでもかと積み上げられた本と資料の山である。左の壁にはこれでもかと本が敷き詰められた本棚、右の壁には何やら難しそうな単語が書かれた小さな黒板があり、何故か単語の他にも可愛い絵が描かれていた。テーブルの向こう側は本棚であり、人ひとり入れるスペースを残して、奥が見えない様になっていた。
あまりの情報の多さに呆然と突っ立っていると奥で何やら声が聞こえてきたではないか。







「おや?みずきどうしているんだい?」
「アポはちゃんととーりーまーしーた!覚えてないの?」
「あ、あー・・・あの後授業あったから・・・」
「もう、しゃんとして!鳳くん来てるのに。お父さんの馬鹿。」
「ん?鳳くんはみずきのクラスメイトだったかな?」
「うん。本持ってくるの手伝ってくれたの。」
「そうかい。ならお礼言わないとね。」


ハッと気付くと奥の本棚からひょっこりと初老の男性が顔を出してきた。




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