そう言う訳でみずきは顔が青くなっていたのである。
鳳は首を傾げたが、特に何も言わなかった。他所の家の環境が自分の家の環境の通りだとは限らないからだ。


閑話休題はここまでにして、今一度現実に戻ろう。


「ねぇ鷹狩さん。」
「はい?」
「鷹狩さんのお父さんは何をやっている人なの?」

少し顔の堅いみずきを見た鳳は何回か彼女に話を振っていた。
少しでもみずきの緊張が解れてほしかったのだ。

・・・それに少しでもみずきの事を知りたいなーと思ったり。

みずきはきょとんとした顔をしたが少し嬉しそうな顔をした。顔をみれば分かる、彼女は父親が大好きなのだ。

「お父さんはね教鞭をとっているんだけど、世界を廻ったりして多忙なんだ。」

でも私の事、ちゃんと気にかけてくれて、いろんな事を教えてくれたんだ。
そういうみずきは本当に嬉しそうなのである。
そんなみずきを見て鳳も頬が緩むのを感じていた。








大きな道路を抜けるとすぐ近くに神社があり、名前だけは聞いた事のある女子校が見えてきた。緩やかな坂道を上ると右手に、とある建物が見えてきた。
さらにビルが周りから遠くからしか見えず、近くには住宅と学校しか見えなくなっていた。
それに比例する様に学生の姿がちらほらと見え始め、鳳の頭にはハテナが浮かび上がり始めた。

「あ、あそこだよ」

そう言ってみずきが指差したのは先ほどのとある建物だったのだ。
建物の門前には「ーー大学」と記されていた。

「ねえ鷹狩さん」
「なあに?」
「鷹狩さんのお父さんってー・・・」
「だから言ったでしょ?」





お父さん、大学で勤めているの。





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