ろく

さてその後、何故か一行は千代田区のとある場所に来ていた。
あたりはもう薄暗く街頭が道を照らしていた。

「テメェら一体何処まで行くんだ?アーン?」

何故か着いてきた跡部が痺れを切らしたかのように三人を怪訝そうな目で見た。
正直跡部はかなり苛ついていた。まどかに殺気は向けられるわ、日吉には流されるわ、みずきが延々と語るわ、挙げ句にこんな遠い場所まで来てしまって。(しかも電車という訳分からん乗り物も乗る羽目になった)

跡部の心境を知るか、と言わんばかりに三人の顔は「なに言ってるんだ?」という顔になった。
そういう態度が気に入らない。跡部は眉をひそめるばかりである。



「あ、あった。」


みずきがある標識を見てそう呟いた。
鳳はふいにソレをみやる。そして固まった。

「・・・鷹狩さん、くっ首塚って・・・・?」
「『平将門公首塚』だよ」

正直に言おう。なんてとこに行こうとしてるんだ!!(ばーい鳳)
言わずもかな鳳の顔が青くなった。
とっとといこう、と言わんばかりにみずきは鳳の裾を掴みずんずんと前を進む。

「いやいや鷹狩さん!首塚ってなんかお墓だよね!?」
「うん、そうだね。でも将門さんの説話で結構有名な話なんだけどな。」

そう口論しているうちに首塚に着いてしまった。
周りは薄暗いので何かがでてきそうな気配がして少し怖い。鳳はブルリと震えるもある事に気付いた。
墓石の周りは様々な華が添えられているのだ。そして何故か蛙の置物も。

「此処では写真とったら駄目だよーよる遅いから眠っていたら失礼でしょう?」
「いい?鳳君。平将門には二つの顔があります。」

此処に来たのは将門さんには怖い面もある事を知ってもらいたかったからだよ。
首塚前手を合わせた後、みずきはそういって話し始めた。


平将門は長い間「朝敵」とされていた。それは自ら「新皇」と名乗り関東に新政府と作ろうとしたからである。(→天慶の乱)
940年の事だ。俵藤太(藤原秀郷)に討ち取られ都の東市でさらし首にされたのである。ここから奇怪な事が起き始めたのだ。『太平記』には、さらしものになった将門の首級の話が書かれている。将門の首は何ヶ月たっても腐らず、生きているかのように目を見開き、夜な夜な「斬られた私の五体はどこにあるのか。ここに来い。首をつないでもう一戦しよう」と叫び続けたので、恐怖しない者はなかった。しかし、ある時、歌人の藤六左近がそれを見て「将門は こめかみよりぞ 斬られける 俵藤太が はかりごとにて」と歌を詠むと、将門はからからと笑い、たちまち朽ち果てたという。
もう一つの説がこの首塚に繋がっている。夜な夜なけたけたと笑う平将門の首は三日目になった時笑いながら飛んだのだ。自分の場所である関東へ飛んだのだ。

「ー・・・で力尽きて落ちた場所が此処だよ。」

此処、今此処にいる首塚である。
つい、と鳳は首塚を見た。日本の武士の戦陣を切ったような人だとばかり思っていた。だがこんなに怖い一面を持ってただなんて。

「っは、馬鹿じゃねーの!」

重い沈黙を悪い意味でなぎ払うかの様に跡部が鼻で笑った。

ビシッ

三人は固まった。それを見た鳳は瞬時に推測出来た。
かなりヤバいワードを言ってしまったようだ、ということを

「首が飛んだ何て非科学的な話信じられねーな。アーン?」

跡部はみずきを押しのけ首塚の前に立つ。じい、と見やるとまた鼻で笑った。

「なんで花なんざ置いてあるんだ?此処はただの空き地じゃねーの。」

そういい、跡部は一番やってはならない事をしそうになった。推測出来ると思うが墓石を蹴ろうとしたのである。
・・・まあ未遂に終わったが。

「ヒヨ、ナイス!」

日吉が跡部に技をかけ物理的に蹴れなくしたのだ。
当たり前だ!と焦った顔で言う日吉は中々見られないが今はそういっている場合ではない。

「・・・跡部さん、俺の趣味知ってますよね」
「アーン?ミステリー探検だろうが」
「・・・ここ、モロにヤバい場所なんです。」

その例を挙げていくと段々跡部の顔が引きつっていったが、ヤバい話は苦手な方もいると思うので割愛する。
ちなみに、ガチでヤバい。過去何人も死人がでておりGHQも此処を放棄した。

詳しい話は調べる事をお勧めする!



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