さん時を少し遡ってみる。本来であれば今日はミーティングであり、部室にレギュラー達が集合する日であるはずだった。 その為日吉は部室へ足を運ぶも部室前で立ち止まった。なにやら騒がしいのである。いやな予感はするもののミーティングには参加しなければならないので扉を開けた。 すると 「……。」 「うわあああああああ!!宍戸さん助けて下さいいい!! 「わっちょ!近づくな長太郎!!」 「わー鳳締め切り間に合うの?」 「完璧死亡フラグたったわな。」 「クソクソ!去年思い出しちまった…鳥肌止まらねぇえええええええええ!!!!!!」 「あ゛−ん!?五月蝿ええええええええ!!!!!!」 なんというか、阿鼻叫喚の図であった。 「あ、日吉〜!」 慈郎に気付かれてしまった。逃げ出そうとするも後の祭りである。 「日吉!タメでしょ?同級生でしょ!?お願いだから助けてええええええ!!!!」 「おい待て。何があった。」 取りあえず鳳をなだめてから訳を聞いてみることにした。 内容は例の偉人レポートであった。 どうやら鳳はみずきに迷惑をかけたくない一心で自力で何とかレポートを書き進めていたらしい。・・・というか、あの阿鼻叫喚の渦に入りたくなかったのが本音な気がする。 昨夜のことである。ようやく完成したレポートに鳳は気が緩んでいた時、鞄にレポートの入ったファイルが無いことに気づいた。 後者に置き忘れたんだろうな、と高を括っていた鳳は特に気にせず床に就いた。 そして今日の朝、机の中、ロッカーを見て愕然とした。 ない。ファイルがない! これには鳳は血の気が引いた。なぜならファイルの中には完成したレポートが入っていたのだから。 ・・・つまりだ、最初から書き直さなくてはならなくなったのだ。 それも、たった一日で。 これは、 さすがの日吉も大いに顔を引きつらせた。 なんという不運であろうか、自分が鳳の立場なら顔面蒼白で悪友のみずきに協力させてレポートを作り直しているだろう。さすがに一日で自力で仕上げる自信はない。 もう一度鳳をみやれば一緒に紛失したであろう資料を思い出しながらであるがレポートを書き綴っていた。 「・・・頑張るんだな。」 「えぇえ!?日吉手伝ってよ!!歴史得意だろ!?」 「俺は自分のでていいっぱいだ。」 懇願する鳳を一蹴りし、それでも助けを求めるのを見て日吉は息を吐いた。 確かに日吉は歴史は得意科目である。教科書に書かれている内容であれば教えられるが、こういう事柄はすぐに教えられないのだ。今回のレポートでさえ本を六冊も貸りて仕上げている最中なのだ。 鳳の気持ちはよくわかる。ここで見捨ててしまうのは後髪を引かれるものだ。 「・・・鳳」 「ふぁい!」 「今日は空いてるか?」 「勿論だよ!!」 道標だけは教えることができる。 携帯を取り出した日吉は時間を確認し、SNSを開いた。しばらくそれを見やっていると何かを見つけたらしくニヤッと笑って見せた。 「鳳は先にサロンに行ってくれ。」 「サロン?」 「プロを呼んでくるから待ってろ。」 そうして部室を出た日吉は悪友たちを引き連れてサロンへ移動したのである。 ・・・まさか跡部までも居るとは思わなかったが。 (3/7) 前へ/次へ 栞を挟む |