いち

ある日の授業中、みずきは屋上に来ていた。

俗に言うサボリである。

予鈴の時に悪友・日吉に『サボる!どや!』メールを送ったら『氏んどけ』と返された。
ちくしょう、眉毛を油性マーカーでぶっとくしてやる。

一見、みずきは真面目に見えるが結構大胆な行動を起こしたりしているので、そこは普通の中学生と変わらない部分だろう。
ちなみにサボり理由は苦手な数学があるからなんて言わない。まどかが休みでつまらないからなんて言わない。

さて、適当な場所に座り込んだところ、制服のポケットに入れていた携帯が鳴り始めた。
携帯(ガラケー)を見ると赤也の部活の部長からであった



今日は赤也がすまなかったね(苦笑)
きちんと灸を据えておいたよー

サボっちゃいけないんだー(o^^o)ふふっ♪



「わぁ、なんでわかったんだろう」

何故かは野暮である。きにしたら負けである。
特に怖がる様子もなくぽちぽちと返信メールを打ち始めた。



ありがとうございます!
まぁ、私も赤也にケーキ奢らせるつもりでしたし(笑)
というか、なんでサボっているのバレたんだー((*´∀`))ウキャキャ



「返信・・・っと」

ぱたん、と携帯を閉じると傍らに置いていた本を読み始める。
こう、時間のある時に本を読む事に、小さい頃から習慣づいてしまっているみずきである。
ちなみにみずきが読み始めた本は『伊勢神宮−知られざる杜のうち−(角川選書:著者矢野憲一)』だ。今年はちょうど伊勢神宮で行われる二十年に一度の祭祀「式年遷宮」が完了する年である。
少しだけ流行に乗ってこういう選書を読むのも面白いな、なんて思いながら丸善で衝動買いしたのは記憶に新しい。


ところで、普通の女の子が言う「流行」とみずきが言う「流行」はかなり誤差があると思われるのだが




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