いち

夜、既に時計の針は七時を指している。
あの後、鳳と自分自身を手当したみずきはようやく帰路についた。

先ほどの地震であるが、どうやら関東地方が震源らしく、被害はちょっとだけで済んだようである。


いつもならば、これの一時間は早い。それでもって、最近面白いなと思う伊勢神宮についての本の続きを読み、いつもこの曜日にやる歴史番組を必ず見る!
・・・だが最近はブームなのであろうか、戦国武将が中心で、みずきが好きな古代史関係が少ない。

それでもいいのだ。歴史を知るのはみずきにとって必要不可欠なのだ。

わくわくする気持ちを持ち続けることに意味があると父が言っていたのをみずきは覚えていた。

それにしても、今日は本当に疲れたもんだ。
テニス部にはあまり関わりたくないって決めていたのに・・・




幼なじみを抜かして。




あいつは腐れ縁というか何というか。
けれど一緒にいて嫌でもないし、むしろ楽しい。
アレになった対処法なら心得ている。







みずきはぼやける視界に眉をひそめる。
眼鏡は見つかったのだ。しかし身代わりになったように大破していたのだ。
眼鏡がないと周りがぼやけて見える。
正直、とてもキツい。

どうして帰りに眼鏡ショップに寄らなかったのだろう。そんな自分にいらつく。


そんなこんなで、家はもう目の前。
明日は代えの眼鏡でなんとかなるだろう。そう自分に言い聞かせて家の門に手を掛ける。


「部屋に入ったら、”夏水仙”でも弾こうかな・・・」


なんて思考にふけっていると、



「あれ?みずきじゃねーか。」






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