放課後、みずきはまた図書室に籠もっていた。
図書室の奥、誰も入らなそうな場所にみずきはよく出没する。
そこにはみずきの好きなジャンルの本が大量にある。
…そう、日本史もとい宗教学、民俗学、古代史、陰陽師、安倍晴明関係の本が大量にある。


「うん、やっぱり凄いよね!」


バカがつくほど歴史好き。

そんなみずきだが、今日はいつもの場所にはいない。(本当に珍しい。)
今いる場所は現代小説欄。


「んー…と、あっあった」


みずきが手に取った本は彼女がずっと読みたいと思っていた本だった。


それにしても今日はやけに外が静か。何があったのだろう?


「何持ってるの?」


びくうっ!!


「まっ…また鳳さん?」
「うん。で、何の本読んでいるの?」
「これ、読もうと思って…」


これだよ?とハードカバーであるその本を見せる。鳳はそれを手に取りじっと見る。
どこかで見たことがあるタイトルだ。何だろう、何だったんだろうか。


「『雨と○の○とに』?」
「うん。柳美里さんの小説だよ。ほら、ドラマや舞台になった!」
「…あぁ!あれか!」


そうだ。タイトルは聞いたことはあったんだ。
みずきはずっと原作読んでみたかったんだ。とうれしそうに笑う。きっと彼女にとっても思い出に残っているようなもの(ドラマ)なのだろう。


「鷹狩さんって歴史系統以外も読むんだ。」


これは以外。そう思っているとジッと何かを訴えるように睨まれた。
あっと鳳は気づいた。自分は何という失態したんだと焦る。


「ごめん鷹狩さん…」
「いいよ…慣れてるもの……」


仕舞いには凹んだ。やってしまったと鳳は後悔気味。もっとも、誰でも現代小説は読むだろう、それを決めつけてしまってはいやな気分にもなる。
はたとみずきが復活したと思えば不思議そうに部活はどうしたのか聞いてきた。
鳳は今日はオフだということを伝えれば納得したように頷いた。


「本当に…興味無いんだ…」


そりゃあもう…興味のあること以外。


「またね鳳さん。これ、借りるに行ってー…‥ん!?」
「わっ!」


地震だ。それもかなり揺れが強い。


「…1923年におきた関東大震災の前触れだったり…?」
「いや、考えすぎだって。」
「そうかな?」


またここで歴史発想は少し置いとこう、みずき。

と、みずきの背後が暗くなった。どうしてだろうか。後ろは本棚しかないはずだ。





「危ないっ!!」





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