いち

鳳が教室に戻ると教室には人がごった返し、みずきが教壇にあがっていた。

そして元1Bの生徒数名が机を借りて板書をしていた。
その光景はまるで授業のようであった。


「んじゃあ、もう一度言うよ?江戸幕府五代将軍の徳川綱吉は鎖国の完成や寛永令で有名な三代将軍家光さんの四男!あっ家光さんの乳母の春日局っていう人は大奥を築き上げた人でね、あの有名な御鈴の間を考えた人なんだー…でも春日局さん実は明智光秀の子孫…確かだけど姪だったかな?それに値するの。さらにさらには家康と一緒に江戸幕府を創ったお坊さんの名前何だったっけ…まぁそのお坊さん、実は明智光秀本人って言われていて、その理由として春日局がそのお坊さんにお会いしたときに『お久しぶりです』と申し上げたんだって!!凄いよね、ミステリーだよね!!しかもね!?江戸の町づくりでは家康さんと明智光秀かもしれないお坊さんが京都で長く続いた平安京にならって江戸の町を作ったの。つまり陰陽道が入ってるのこれが!!その証拠に比叡山延暦寺の代わりに寛永寺でしょ、不忍池でしょ、江戸城を中心として北斗七星描かれてるし、霊山として知られている富士山の気を取り込もうとして川を江戸城からぐるーって渦巻くみたいだしね、それにそれに!京都におわしました天皇家はその当時、ううん。記紀(古事記・日本書紀)には天昇光臨の際においでになりました天照大御神の子孫とも云われているのね?つまり、家康さんら徳川家には祖神がいないの。そこでっ!家康さん考えました!なんと死後自分を祖神として奉れって!だから家康さんは後に権現様って呼ばれることになったんだよ?こうやって似せることによって江戸幕府を長く続かせようとしたの!!そもそも江戸幕府は四期に分けられることができてね…!!」

「鷹狩!本題に入ってくれ!」


元クラスメイト、ナイス止め。じゃなければきっと延々と語り続けていたはず



「あ…ごめんなさい。話戻るね?まぁ、そんなこんなで家康、秀忠、家光飛んで五代綱吉になるんだ。徳川綱吉は在職は1680〜1709の29年間。こうずけ…今の群馬の館林15満石の藩主さんだよー…さあ大森くん?“こうずけ”は漢字でなんて書く?」

「えぇっ!?俺!!?群馬だよな…今の…ゔ〜…“香”に“介”?」

「はい残念。正解はJRの上野駅と同じ“上野”だよー…で、最初の政治の時に大老の堀田正俊さんの補佐で朱子学を官学にして湯島に聖堂を築いたの。ここまでは綱吉さん、評価に値するの。で、1685年からあの『生類憐れみの令』を出し始めたんだよ。本っ当に悪名高い法令だよね…だってね、犬は確かにかわいいけど、武士にとって辻斬りすると重い処罰受けるし、蚊をベチッと潰したり、水をまくと即御用。水まきはね?水中にいるボウフラを殺すからダメだったんだって。そんな意味不明な法令をだされた町人たちは皮肉も込めて彼をなんと呼んだかな?綾子ちゃん、いってみよー!」

「ええーっ!!…何だっけー…はっ!!『お犬様』!」

「ハズレーッ!正解は『犬公方』。町人にとっては犬に関する法令を出したからなんだ。歴史的?に見ると綱吉に男子が生まれないのは前世で殺生をやりまくったからだーって隆光というお坊さんが言ったことをモロに信じてね、しかも彼が戌年生まれという事が災いしたね。うん。もし龍だったらどうするのさっ!それで犬に関する法令が出まくったんだから!でー……‥」


歴史の話になるとみずきは生き生きしている。その姿を初めて見たクラスの人たちは驚いていれば呆然としている者もいた。
普段、こんなに生き生きしていりみずきは初めてだからだ

鳳自身、みずきがこんなに輝いているところを見たのは二度目だ。


「すごいでしょ?みずき。」


はっと我に返るとまどかが鳳に話しかけてきた。



「鷹狩さん、何やってるの?」
「見ての通り、元1Bの子達に偉人の事を教えているの。」


後で鳳も教えてもらえば?そう言うとまどかは他の女子の方へ歩いていった。


「…何だったんだ?」


頭にハテナを浮かべる鳳。
そうもこうも言っている間にもみずきは語り続けている。
その姿に目が離せなかった。






「(アンタがみずきを気にしているのは見え見えなのよ。)」



観察力の鋭いまどかだった。




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