人間道を抜けたらそこは人間道でした2/2
「…っはっ!!」
脳内で大絶叫していたらバッチリ目が覚めた。視界に飛び込んでくるのは一面の蒼。視界が正常だと認識すると痛覚が動き出した。
…妙に目が染みるし息苦しい。そして身体に妙な圧迫感を感じる。
故にこの情報から弾き出される答えは、俺は何故か水中にいる、ということであるまる
「(って待て待て待てえええええええ!!!!!!!)」
第二の死だなんて冗談じゃねえええ!!!!
全力で泳ぐと水面が近くなった。
やっと顔を水上に出せた!やった!空気万歳!
しばらくして呼吸が落ち着いた俺は周囲がどうなっているかを見た。
海にいるかと思っていたんだがどうやらただの湖だった。岸辺まで泳いで湖から出ると制服が纏わりついた。うぇ、気持ち悪ぃ。
湖から出たはいいんだがよ、周りが森なんですが…しかもどう見ても日本の森じゃねーんだよ
「俺…確かに死んだよな?」
確かに気を失うまではナイフで刺される痛みを覚えているし妹を抱き締めていたのも覚えてる。そっと背中に手を回すがどこを触っても痛みがないどころか傷口らしき箇所にも当たらない。
「おいおいおい…マジかよ…!!」
脳裏に一つの単語が出てきたがすぐさま消した。いや否定したかった。
こんなのがあっては理が崩れ均衡という均衡が可笑しくなる。あってはならない事ことなんだよ!
それにたかが人間がどんなに修行して力を付けてもそれを越える事は出来ねぇし、そんな事をしたら人間じゃなくなる。
嫌な思考のループに堕ちるところを頭を振って追い払う。取り敢えず今は現状確認だ。
「その前にっとな!!」
パァンと一回柏手をした。
すると服が一瞬熱くなったが、もう制服はびしょ濡れじゃない。
どうやら此処でも俺の力は作用するみたいでホッとした。
とにかく森を抜けよう、ここが何処なのかはっきりしてぇからな。
道のりに歩いていくと森が開けた。新たに見えたのは長閑な、外国の田舎町なんだけど。
わー中世みてー
太陽燦々だー
教会のベルらしきものが反射して眩しー
近くにトマト畑が見えるー
潮風もするわー
あははははははー
教えて下さい、此処マジでどこだよ
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