黄土衣 | ナノ


  或る兄の最期1/1




俺は“幸せ者”だったと思う。


母さんのめっちゃ美味かった料理、父さんの考古学の話、勉強してると邪魔する雑鬼たち、大好きなテニスに心強い部員たち


義母さんは散々だったけどな





――――そして、いつも俺に元気をくれる妹。




周りにシスコンなんて言われたが、しょうがないだろ?

十歳も歳が離れてりゃ可愛くって仕方ねーよ
目に入れても痛くねぇし、つーか妹を守るのが兄貴である俺の責務っつーもんだ!!

あ?重度だなってか?
んなの、自覚してるが文句あるか?←





だから俺は今までの人生を後悔していない。

これは、俺のエゴかもしれねぇが、最後の最期に身を挺して、妹を護ることが出来たのだから。


唯一悔いるとすれば、まだ幼い妹を残して逝くこと…だな


嗚呼、そろそろヤバいな。


体中が痛てぇよ




「お前は、俺の分まで生きてくれ」


これが、俺の最期の言葉だった






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