「要求什麼」210/11
確かにコレは波長からかなり神聖な物だってわかるし、当時の神父が全力で封印をした形も見事としかいえねぇ。
・・・推測だがおそらくデネブを焼いた太陽はこのトパーズだ。
トパーズを発見したデネブが持ち上げた瞬間、拒絶したんだろう。それを見たイバリダがショックで声がでなくなった。
コレで話は繋がった。
すべての元凶はコレだ。
コレをどうにかすれば、なんとかなる。
そう思った俺に反応したかの様にトパーズが紅く煌いた。
は?・・・・・・・「紅く」?
「どわっ!!?」
「篤志!?」
こいつ、封印を破り始めた!一体なんなんだよ!?
封印が敗れるのと反比例するみたいに紅く紅く煌いてるわ炎を出そうとするわ、俺水系の術サボらずにやっててマジ良かった!じゃなきゃ今頃消炭だっつーの!!
もう本当になんなんだよ!?(兄ちゃんパニック中)
と、俺の中に何かが入ってきた。これは・・・このトパーズの記憶か?
流れてきた記憶の映像には沢山の人間の手に渡り、その度に拒絶し、拒絶を繰り返し、自分を扱うことのできる主をひたすらに探している映像だ。。
でもめぐり合えなかった。自分のこの炎を扱う人間。ただそれを求めていただけなのに。
そんなトパーズの嘆きが嫌でも伝わる。
「ッチ!」
なんつー求め方だよ。これじゃあ嫌われるっつーの!
確かに炎はとても綺麗だ。
紅く煌いて凛として輝いて、全てを燃やす。
俺はそんな炎が好きだ(ただしコンロの炎は嫌だ)。昔の「俺」はそんな炎と相性が良くて、火属性の術をたくさん習得した。でもな、それだけじゃバランスが取れないから他の術も習得した。
そう懐古するのも一興だが、ここじゃあ駄目だよな。
俺、ここで死にたくない。
俺は兄ちゃんだから妹に会えずとも見えなくっても、かっけぇ姿見せたいんだよ。
っは!シスコン上等!!それが俺だからな!!
「要求什麼?」
誰かの声が聞こえた。コレはたぶんトパーズの声だ。
目を開ける。
そうするとあたりは暗闇で俺の目の前に誰かが立ってた。
・・・昔の「俺」だ。
「俺」は俺を見据えて「要求什麼」と問う。
「俺」の姿を借りたのか。そう頭の片隅で思ってると「要求什麼?」とまた問う。
・・・なにを答えてほしいか?
「悪いが、俺は貪欲じゃない。自分がほしいと思ったものは自分で手に入れるさ。」
ま、だがよ
「前は国一番の道士サマの弟子で跡継ぎで。皇帝の隠し子を妹として立派に育てた。今も術は使えるけど、体術だってできるが現代じゃあいらないものだ。闇の少ない現代じゃあ俺は役立たず。・・・お前は俺に何を求めてほしいんだ。」
「俺」よ、どうなんだ?
『(我は貴殿捜していた。我を受け入れよ我が主。使いこなせ。さすれば此方へ来た意味が完成する。)』
そういう事かよ。
現実に帰れば俺はまだ瓦礫の中だ。ははっ体が痛ってぇ。
「篤志!!返事をしてくれ!!」
・・・あ(汗)。
「トエスさん!もう大丈夫だ!!宝石と話がついたからな!!」
「・・・は?」
「あとで説明するって!・・・今はコレをどうにかしなきゃ、だな・・・。」
起き上がると俺は運がいいのかガラガラと瓦礫から抜け出せた。たぶん木材が軽かったんだな。
・・・といっちょ、やりますか。
トパーズを握り締めて俺は創造する。あのアクマ(?)を一発で倒せるものはなんだ?
創造する。そのときふと思い出した。
ダチが面白いって言ってた同人弾幕シューティングゲーム。俺と妹も思いっきりはまって親父に笑顔で怒られるまでパソコンにかじりついてたっけか。
あるじゃねえか、一発で倒せるやつ。
俺、たぶん今ニヤッて笑ってんな。まっこういうのも悪くねぇ!!
「神槍『スピア・ザ・グングニル』!!」
俺の創造でできた紅い炎を発した槍はアクマを貫いた。
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