黄土衣 | ナノ


  ああ、気持ち悪ぃ2/11


ここに居る人全員には誰にも見れちゃいねぇ。・・・これを見ているお前はわかるか?
この黒い靄を


「・・・トエスさん」

俺は比較的俺の声が届きそうなトエスさんに声をかけた。
だが俺の声はまったく届かずに居る。・・・困ったもんだな。

これかやる事は秘密にしてくれよ。



俺は静かに床につい、と線を引いた。本当は符がばもっとよし。

「ーーーーーーーーーーー」



ガンッ


「「「うおぉ!?」」」

皆が驚いてこっちをみた。
いやーーーーだって、思いっきりテーブル蹴ったし☆
やべ、ちょっとテーブル凹んだ。

「篤志何やってるの?馬鹿なの死ぬの?」
「いやいやいや!だって皆俺が呼んでも全く気づいてくれないし!!」

いぎゃああああああ!!!!トエスさんがきたああああああ!!!!!!
マジだ、目が据わってる、あ、俺死んだ。
いや、だってしょうがなかったんだよ!あの状況じゃあ特別でっけぇ音じゃねぇと奴がビビんねぇんだよ!ほら、その証拠に皆の目がホラ!普通に戻ってるじゃんか!!

「ん?じゃあ呼ぶためにテーブルを壊してもいいのかい?ん?」
「トエスさんごめん。本当にスマンかった」

秘儀、日本の土下座でここはやり切りました。いやあトエスさんは怒らさないべきだって。途中で村の皆がトエスさんを落ち着かせてくれたから何とか生き残りました。
グラシアス、こんど俺特性パエーリャお裾分けしまっす。

「うわ、あいつ馬鹿さ」


「トエスさん殺っていい?」
「いいけどまず内容喋ってからにしてね」

おっと、俺としたことが忘れていたとは(汗)

「あートエスさん」
「なんだい?」
「頭ごなしに罵っていたら相手の真意が掴めないままだって言いたかったんだ。」

トエスさんが目を見開いた。トエスさんだけじゃなくって村の皆も転がっている翁と赤毛も驚いていた。
あたりは水を打ったかのように静まりかえった。
耳が痛い。これも赤毛のせいだ。
だって考えてみろよ。詰問だと皆は思ってたかも知れない、だがな客観的にみればこれは相手を罵る行為に成っていた。罵る行為を始めてしまえば相手の意見を聞き捨ててしまうケースが多いよな。それに悪い言葉は言えば言うほど悪い気が集まってくるんだよ。奴らはそういう気を主食にして集まってきた形のない悪鬼だ。
それが喰らえばもっと大変なこととなる。

ああ、なんという悪循環。

付き物が落ちたようにトエスさんは俺の言ったことに同意してくれた。するとどうだ、さっきまで生き生きしていた奴らが段々薄れていってるじゃないか。
俺はトドメとしてさも自然に見えるように、場を区切るように拍手をひとつ。

「じゃ、ここからは俺に任してくれよ。」

ニッと笑えば完全に消えうせた。


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