旅人の手記より1/4
「あまつきつね」になりたい、彼女は呟いた。
彼女は己の持つ「力」が故に腫れ物扱いをされていた。
彼女は「力」を持つことを後悔しなかった。
何故なら腫れ物扱いされたかわりに"家族"を得たから
何故なら真の友を得たから
何故なら己の護るべきものを見いだせたから
だから彼女は「力」を手放さなかった
どんなに辛くとも、痛くとも、泣きたくても
帰るべき世界に帰れなくても
彼女は異世界の人間だった
暇さえあれば不思議な耳当てで音楽を聴き、口ずさんでいた。
彼女が口ずさむ音楽はどれも新鮮で、心に響き、
ある時は場を癒やし
ある時は励まし
ある時は子守歌になり
ある時は鎮魂歌になった
「大丈夫、大丈夫」と笑う彼女の笑顔はピエロの面の様であった。
あまつきつね、アマツキツネ、天狗、天狐ー…‥
諸説は様々だが
彼女は何故そう言ったのか、私は未だに分からないままである。
19## ## ## (何時書かれたのか、虫食いが酷すぎて読めずじまいである)