アクター22/7




「・・・何でしょうか。」
「みずきは・・・此処に居ないんですか?」

アレンは疑問に思ったのだ。みずきの行動に。
男女別の部屋かとも思えば宿の部屋はあまり多い方ではない。そしてこの部屋に置いて行ってもいいはずの荷物さえ置かずに行こうとしているのである。

「話しませんでした?隣村へ連れて行ってもらう代わりに今夜はバルで手伝いするんです。」
「じゃあ僕もやr「スペイン語分かります?」・・・・・・」

撃沈である。

厚いです。言語の壁は・・・




「それに・・・」

そう言って付け加えたみずきの言葉に目をこれでもかと言うくらい見開いた。

「エクソシスト様と同室だなんて恐れ多いです。」


彼女は自分と同じエクソシストだ。なのに何故「様」をつける?
彼女を隔てる壁は何も言わない。

















いつの間に寝てしまったのだろうか、窓の外は真っ暗であった。
下の階でガヤガヤと客が賑わう声が聞こえてくる。
伸びをして辺りを見渡すとひとつ気づいたことがある。ティムキャンピーが何処にもいないのだ。恐らくみずきの所にいるのだろうと勘が言っているが少し心配である。
ティム探しのついでに水を貰おうと思ったアレンは階段を下り賑やかなバルへ足を運んだ。
バルは本当に賑やかであった。楽しそうに酒を飲み交う人々にフラメンコを踊る踊り手、フラメンコギターなどで音を奏でる人々でごった返し、眠気がまだ残っていたアレンはその空気で吹っ飛んだ。
水を貰い、ティムを探すと見覚えのある人の肩に乗っている姿が見えた。どうやらアレンンの勘通りにみずきと一緒にいたようだった。
ティムの楽しそうな姿に安心したアレンはみずきを見やった。
そして愕然とした。

笑っていたのだ、自分には仮面の様な顔をしていたみずきが楽しそうに笑っているのだ。
楽しそうに踊り手の女性に合わせてギターを弾き、時々青年にカーネーションを渡されナンパらしき事をされるも軽くあしらっている。
何故自分には笑いかけてくれなかったのだろうと思うも自分にも笑ってほしいと思うも、それはきっと無理であると勘が警告していた。
みずきについて分かったことがある。それはアレンを、否、黒の教団の人間をみずきは拒絶している事である。

アレンはその光景をどう思っていたのだろう。








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