少年Aの困惑34/5



二日後、アレンはようやく目的の町へたどり着いた。
異国情緒あふれる町を見てアレンは期待に胸を膨らませる。
ここで一度セビリア地方について振り返ってみる。
セリビア地方はセビーリャ、セビージャなどとも表記され、英語読みでsevilleと発音する。地理的にはスペインのアンダルシア州セビリア県の首都である。グアダルキビール川沿いに位置しており、大西洋からセビリアまで船舶が遡航できる。そのために港湾都市としての役割を果たし、農作物や工業製品が盛んに輸出される。近隣の都市としては、約100キロ南西のカディス、120キロ北東のコルドバが挙げられる。
観光を上げるならば、セリビアと言えば闘牛とフラメンコの本場である。故に本場のそれを見るのは圧倒する物があるに違いない。
またセビリア大聖堂、アルカサル、インディアス古文書館は世界遺産に登録されている。

そして忘れてはいけないのが「セビリアの春祭り(Feria de Abril)」というスペイン三大祭りの一つだ。     (by wikipedia)


それにしても活気あふれた元気な町だ。
程よく焼けた健康的な肌、艶やかな色素の濃い髪、英人とは違う柔らかい顔立ち。情熱の国、沈まぬ太陽と言われる国は、その名を連想させるかの様にイギリスでは見られない不思議な活気がそこにはあった。
そんな町の中で彼女を見つけられるか、アレンは少しばかり不安である。
そうも言ってられないので待ち合わせの場所に早めに行こうと足を速めた。場所は単純明快。町の中心にある大きな聖堂の前だ。聖堂の前には店が並び大層な賑わいを見せている光景はまるで神が朗らかに商売を受け入れている様に見えた。
ティムキャンピーも周りの活気に釣られたように踊っており、陽気な姿に頬が緩くなった。

その時である。

「あれ?何処に行くんだよティム。」

ティムキャンピーがパタパタと羽撃いて何処かへ飛んで行ってしまった。
目を離す訳には行かないので急いで後を追う。もう一回目を離してみろ、猫に食われてしまうのが目に見えている。
散策する様に飛んでいるように見えたティムキャンピーであるがふと、何かを見つけたのか、そちらへすっ飛んで行ってしまった。
これには焦る。慌てて後を追うアレンであったが進んで行くと目の端に朱が映った。
普段なら全く気にしないのだが、例の彼女を探す目印でもある朱につられたアレンはそちらの方向へ目を向けた。幸いティムキャンピーもそちらへ飛んで行っている。

ある事に気付いたアレンは足を止めた。



「Wow! Tía, esta muy hermosa pendientes!」
「¿Si o no? Tía lo hizo.」
「¡Verdad!?」
「Sí. ¿El vaso azul de afilarlo era serio?」
「¡Que bien! ¡Esto por favor!」



一見すれば買い手と売り手の会話である。だがアレンは目を離す事が出来なかった。
なぜなら



「Aún así, habla con una mujer joven con fluidez.」
「Sí.De mi abuela que vive en España.」
「¡Es cierto!? 」
「Sí.Por el trabajo del padre, ha venido a España varias veces. 」
「¡¡ojalá!! Si es correcto, se vende muy en un precio bajo.」
「¡Es cierto!?¡gracias!」




手作りのアクセサリーを売っている老婆と会話している旅行者らしき者はぴったりとコムイが言っていた彼女の条件に当てはまるのだ。
コムイやリナリーと似た東洋系人の顔立ち、自分とは違う小さな背丈、ふわふわな天パをポニーテールにし、鮮やかな朱色のコートを纏っていた。
そして引き付けられたのは彼女の瞳だ。イギリス王室を象徴するロイヤルブルーの様な深い蒼を瞳に宿していた。


彼女だ、アレンは直感した


「わぁ、君どこから来たの?」

いつの間にかティムが彼女の肩に乗って彼女に頬ずりしていた。
可愛いと言いながら彼女はティムをなでまくっていた(どうやら可愛いものが好きなようである。)
店員の女性からピアスの入った袋をもらい、ホクホクとした顔でこちらに足を向けた。
それを気づいたアレンは急いでどこかへ隠れようとした。何故か知らないが隠れないといけない気がしたのだ。
しかしそれは無駄足に終わる。
彼女の目がアレンを捕らえたのだ。
見つかってしまった、と思い、彼女を見やった瞬間思考が吹っ飛んだ。
先ほどのロイヤルブルーの輝きが濁った暗い青に変わってしまったのだ。
それはまるで死んだような目である。
売り手と会話していたときはくるくると表情が変化していたのに今はどうだろう、仮面を被った様な無表情変わってしまった。







「初めまして。室長が仰っていましたエクソシスト様ですね。」

表情のない声で自分に一礼する彼女にアレンはなんて声をかけていいかわからなくなった。


少年A、アレンは困惑するばかりであった。


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