Like a kids


いつだって君は、素っ気ない態度ばかり。でも私、そんなところが好きなんだよ。


「ねぇシャーロック、今度の週末どこかいこうよ」

「え?あぁ、事件がなければな」

「…そうですかー」


私<事件。もう慣れた。
私たち、もう恋人同士になって1年以上は経っている。なのに、キスはおろか、手を繋いだことさえない。これじゃいけない、と思いつつも、私もなかなか勇気が出ず、結局なんの進展もないまま、本当に恋人なの?ってくらいの関係でしかないのだ。


「しゃーろっく」

「なんだ?」


ジョンは夜勤、ハドソンさんは友人と旅行。このフラットには私とソシオパスな恋人しかいない。
一歩踏み出す、べきなのかな?


「私たちってさ、恋人?」

「そうだな。…それがどうした?」

「いや、ほら…そうなってから長いのに、なにもしてないなーって思って…」

「…アリスは、なにかしたいのか?」

「へ?」

「僕は、君と居られればそれで十分だと思っていたんだが」


至極真面目な顔でそう言われてしまったら、こちらとしては赤面せざるを得ない。
そんな私を見て、シャーロックはニヤリと不敵な笑みを浮かべた。


「どうした、アリス。顔が赤いぞ」

「うるさいっ!シャーロックの馬鹿!バナナ!!」

「待て、僕は馬鹿じゃないしバナナでもない」

「馬鹿だもん!バナナじゃないけど馬鹿だもん!!」


ふいっと体を反転させて寝室へと向かおうとした。が、シャーロックにがしっと腕を掴まれる。


「なによ」

「僕は馬鹿じゃない」

「はいはい、知ってるよ。天才だもんね、シャーロックは。でも恋愛面においては物凄く馬鹿じゃない」

「…っ」


でもそんなあなたが好き。だなんて口が裂けても言ってやらない。


「だったら、こうすればいいのか?」


私の腕を掴んでいた手を離し、次は私の手をぎゅっと握り締めた。彼の指先は冷たかった。


「シャーロック…緊張してる?」

「な、なんでだ?」

「指先が冷たい」


緊張すると指先が冷たくなる。彼はこの、手を握るという行為だけでも緊張を隠せないらしい。彼らしくない、といえばそうなのだが、もしかしたら、女性の手を握るなんて行為自体が初めてなのかもしれない、と思うと納得がいく。


「シャーロックって、頭いいのに子供だよね」

「そんなはずはない」

「そんなはずありますー。そういうところ、可愛いから好きだよ」

「…やめろっ」


ぷいっと顔を背けた。だが耳が赤いのが丸見えだ。そんな彼を見ていると、心から愛おしいと思える。


「…僕だって……」

「…?」

「僕だって、アリスのことが好きだ」


私の方へ向き直り、いきなりそんなことを言い始めた。今度は私が赤面する番だ。というか、いい大人が2人して手を繋ぎながら赤面しあっているという、なんとも奇妙なシチュエーションだ。


「い、いきなりそういうこと言うのやめてよ…」

「君だっていきなり言ったじゃないか」

「シャーロックに言われると恥ずかしいの!」

「僕だってアリスに言われると恥ずかしい」


本当に、私たちって子供みたいなカップル…。


「でもなかなかに幸せだけどね」

「…?」

「シャーロックといられるだけで幸せー!」


そう言って私は彼に抱きついた。
シャーロックときたら、首まで真っ赤にして何も言えずに固まっている。


「やっぱりシャーロックは頭と背だけ成長しちゃった子供だよ」

「…うるさい」


気付いた時には目の前に彼の端整な顔があり、唇には温かい感触があった。
唇が離れると、そこには、してやったり顔のシャーロック。
彼をなめてかかっていたのかもしれない、と、私は少しだけ反省した。


これは、そんな子供みたいな私たち2人が、少し大人になったお話。


[真帆さんよりメッセージ]
キャロットさん、この度は相互ありがとうございます^ ^
そして、なんだかこんなものですみません…(土下座
顔が赤いのも恥ずかしがるのも、実は計算し尽くしているシャロです。そういうシャロが好きです←
お持ち帰りはキャロットさんのみでお願いします。


[真帆さんへ]
照れシャロ可愛い!!!もうこの作品初めて読んだ際には家族に引かれられるほど悶えました!私の好みを見事にクリーンヒットです。可愛い可愛い可愛い!
こんな感じの雰囲気がキャロットめは大好物です((もぐもぐ
こちらこそ素敵な作品と共に相互リンクどうもありがとうございました!




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