SOUL SACRIFICE

※この話は管理人が書こうか書かないか決定に迷っている話です。
PS Vitaのソフト『SOUL SACRIFICE(ソウルサクリファイス)』を舞台の軸としたものを考えています。キャラクターはバイオキャラのみで考えています。
このゲームの舞台構成、設定はとてもシンプルなので分からない方はネット検索して調べることをお勧めします。
とはいえ、このようなことの為にみなさんの手を煩わせることは心苦しいのでしなくても結構です。大体は文脈から読み取れると思います。
分からない方の為に話をシンプル且つ丁寧にやっていこうと考えています。まだ書くことを決定したわけではありませんがお楽しみ頂ければ幸いです。

*

一人前の魔法使いとなるためにはアヴァロンが与える試練を超えなくてはならない。
そう。正式に魔法使いとなった者はみな、それぞれが罪を背負うことになる。それは避けては通れない道。殺るか、殺られるか。
揺れる炎を見つめながらアリスは思い返していた。最初の相棒をこの手にかけ、一人前の魔法使いとなったときのことを。
初めて愛した男だった。始めから殺戮し合うと分かっていたのに愛してしまったのだ。
生贄とするために取り込む際、男はそっと微笑んだ。静かに涙する自分を見て慰めるように。胸が酷く痛んだ。

「まだ、寝てなかったのか」

低く淡々とした声にアリスは振り返った。レオン・ケネディ。それがこの魔法使いの男の名前だ。
魔法使いは採用試験を終えれば、大体は単独行動をとる。
アヴァロンから指令が下り、魔物を狩る為に魔法使いは地方を回る。
始めは1人で回っていたが道中でこの男と出会った。強大な魔物を倒した後で何故だかこの男は自分の後をついてきた。

「寝たくない」

そう返し、さっさと会話を終わらせる。
他者と馴れ合うつもりはない。この男と魔物狩りするのも不本意だ。
男はクツクツと笑った。頬杖をつき、瞳を伏せて笑う男へ視線を遣る。微かな炎が揺れ、男の顔に影を落とす。

「何が可笑しい?」

「可笑しいさ。俺と行動したくないなら寝てる間に逃げてしまえばいいものの」

アンタはそうしない。
そう言った男はまた短く笑った。皮肉の色が込められた笑みにアリスは鼻を鳴らした。

「気まぐれだ。それ以上でも以下でもない」

「どうだか」

レオンはやはり愉快そうに瞳を細めた。

「そろそろ名前を教えてくれてもいい頃じゃないか?」

「教える時など一生こない。来たとしたらそれも気まぐれだ」

レオンは無言で肩を竦めた。そして淡々と独り言のように彼は口を開いた。

「君は変わってるな。多くの魔法使いは魔物を生贄にして、自分の記憶と魔物の記憶が混同して自分が誰だか分からなくなる。だから魔法使い自身は名前を誰かに伝えることによって世界に自分がいた痕跡を刻むというのに」

「…誰かが憶えてなくても私はそれで構わない。それが魔法使いの罰だと思えばいい。魔法使いを生贄にするという罪を犯した私たちの罰だと」

珍しく喋りすぎて口がカラカラだった。
乾いた口内を一口の水で潤し、アリスは無言で毛布に包まり、寝そべった。
彼に背を向けて目を閉じる。その背中から拒絶を感じ取ったのだろうか。レオンはもうそれ以上何も言ってこなかった。
彼だって通ってきた道だ。分からないはずがない。もっとも、相棒が最愛の人ではなかったというのなら話は別だが。
しかし背中から聞こえてきたのは男の笑い声だった。背中に何か広くて固いものが当たる。彼の背中だ。背中合わせで彼の笑う振動が伝わってくる。

「…やっぱり君は変わってる。そんなことに罪を感じなくてもいいんじゃないか」

そうはいっても罪の意識は拭えないのだ。
男は心情を見透かしているように体をさらに密着させた。

「可哀想に」

深く抱え込まれ、アリスは目を薄らと開けた。
可哀想――?私が?意味を問おうとしたが口元が固く大きな掌に覆われた。
口を塞がれ、それ以上は何も言えない。アリスは諦めてそのまま力を抜いて目を閉じた。




×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -