屈服するのはどちらか


アルバート・ウェスカーは正面に立つ強気な双眸の女性を見据えた。
名は陽葵。彼女の手には黒の重たい銃器が握られていた。
あの忌まわしいクリス・レッドフィールドの部下。
自分の捕えたジル・バレンタインの情報をクリスよりも早く手に入れるとは。
陽葵は良くも悪くも自分の好みだ。
鍛えられた細過ぎず、筋肉質過ぎないラインの体を舐めるように辿っていく。
そして極めつけは性格だ。
控えめではない。あの強気な瞳。憎いクリスとよく似た正義感溢れるあの双眸。
ウェスカーは舌舐めずりした。

手に入れたい。

入手が困難であればあるほど、落とすのが難しいものほど、ウェスカーの中で欲望が首をもたげ、大きく膨れ上がっていく。
閉じ込めて自分の思うがまま、服従させて最後にはグチャグチャにしてやりたい。
ウェスカーは口元を吊り上げた。
陽葵は銃を構えたまま、怪訝に眉を寄せる。
一歩、彼女へと足を踏み出した。
すかさず鋭い「止まれ」の声。笑いが込み上げてくる。
自分に勝てるはずなどない。
構わずもう一歩踏み出せば、遠慮なく発泡される。
ウェスカーは的確に心臓を貫こうとする銃弾をよけ、陽葵の後ろへと回り込んだ。
一瞬遅れての回し蹴り。
ウェスカーはそれを腕で受け止め、彼女の腹に拳を打ち付けた。
咳き込みながら怯み、後退する陽葵。
お腹の辺りを押え、あの強気な双眸が自分を睨み上げる。
ウェスカーはこれからあの美しい顔を自分の手で歪ませるのを想像し、短く息を吐き出し口角を上げた。

一瞬の恐れの色で煽られる欲望。

ウェスカーは腹の痛みで悶える陽葵の腕を引き、躊躇わずに荒々しく唇を重ねた。

「んぅっ…!!」

唾液の混ざり合う音が卑劣だ。
ウェスカーはサングラスの奥から陽葵の苦痛に歪む顔を観察しながら口内を蹂躙し続けた。
歯茎を舌でなぞり、舌を絡ませ、息継ぎを許さない口付けにそろそろ彼女は苦しくなってきただろう。
だがそのとき、舌に痛みが走った。
反射的に離せば、鉄の味が口内に広がる。

「貴様、舌を噛んだな?」

睨んでみたが陽葵は恐れずに口元を拭いながら乱れる息を整え、ウェスカーから距離をとった。
余計に服従させたくなる。

「アルバート・ウェスカー…アンタを屈服させてクリスに遺体で送り届けてやるわ」

この自分と同じ考えか。ウェスカーは笑った。
自分を屈服させる、だと?
強気な陽葵の苦痛に歪む顔をもっと見たくなってしまった。
あの忌々しいクリスの部下ということもあってか欲望が今まで以上に膨れ上がる。

「それまで私の拷問に耐えられるか、見ものだな」

再度、自分に向けられた銃口を見つめながらウェスカーは笑いを零した。



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