Wire puzzle
「遅かったね」
ジョンの声にアリスは重たい頭を上げて曖昧に笑った。
「楽しかった?」
ジョンはアリスが前に勧めた知恵の輪を一生懸命解こうと奮闘しながらそう聞いた。
テーブルには解けた知恵の輪、解けてない知恵の輪がごっそりと置いてあった。
どうやらジョンはこれで休日を過ごしたらしい。
向かい側の席に座りアリスは突っ伏した。
「ええ…」
「疲れてるようだね」
「うん…拷問にあったから」
「拷問…?」
顔を上げれば心配そうな戸惑うようなジョンの目と目が合った。
アリスは笑って顔にかかった髪を耳にかけた。
「友だちがドのつくSで」
「大変だったね」
苦笑を浮かべるジョンにアリスは「はは」と笑った。
「ジョン、まだ解けないのか?」
「うるさいな、じゃあ君は解けるのか?」
シャーロックはクルクルと椅子に座ったまま回りながらジョンに向かって手を差し出した。
椅子から少し腰を浮かせてジョンは知恵の輪をシャーロックに渡す。
すると呆気なくシャーロックは数秒で解いてしまった。それを解けてしまった知恵の輪の山に置いた。
「これ全部、シャーロックが?」
「いや、ジョンはレベル2の知恵の輪は解いたよ」
「一つだけレベル3を解いた」
唸りながらジョンは反抗的にそう返すのに対し、シャーロックは馬鹿にするように笑った。
「あのレベル3はレベル2同然だった」
まあ、僕にしてみたら全てレベル1未満だが、と続けたシャーロックは得意げな顔をしている。
ジョンは「そうだね」と抑揚なくそう返し、テーブルに突っ伏した。