friends attack



「「アリス!」」

ジラとティナはアリスの名を呼び、勢いのままに抱きついてきた。
なんとか受け止め、アリスは口を開いた。

「二人とも久しぶり」

ニッコリと笑い椅子に腰掛けるとジラとティナは顔を見合わせた。
首を傾げるとジラとティナは椅子に座り直しニッコリと笑った。
ジラはともかくティナのこの笑顔は危うい。
アリスの中でティナのドSスイッチがオンになる音が聞こえた気がした。

「ホント久しぶり。それで?アリス」

ニッコリと怖いくらい素晴らしい笑みを浮かべるティナに怖気付きながら口を開いた。

「久しぶり。な、何かしら」

「洗いざらいぶちまけてもらうね?」

「ぶちまけることなんてないわ」

そう返せば、ティナは「ジラ、証拠提示」と刑事らしい口調できびきびと言った。
見た目とは全く違ったティナの口調に喫茶店のアリスたちのテーブルだけ緊張感に包まれた。
はい、とジラは楽しそうに返事し口を開いた。なんだか嫌な予感。

「大学内の女子生徒の目撃証言によると、背の高いハンサムな男と図書館の本棚の影で密会していたようです」

“ハンサム”なことは否定しないが“図書館の本棚の影で密会”っておかしい。
敬礼して言うジラの言葉を聞きティナは可愛いそれこそ天使のような極上な笑みを浮かべてアリスを見つめた。

「別に密会じゃないわ」

慌ててそう否定すればティナは片方の眉を吊り上げて興味深そうな顔になった。

「じゃあ、会っていたということだね?」

やられた、と唇を噛めばティナは勝ち誇った笑みを一瞬浮かべて“証拠提示”の続きを促した。

「またまた大学内のアリスの尊敬するフレイン教授研究室で同業者Cがその背の高いハンサムな男と小柄な男と密会しているという情報が」

「さあ、アリス?これはどう説明するの?」

どう説明すべきか。
事件があったことはもちろん、二人は知っている。
だからといって事件の詳細はあまり教えられない。

「け、警察関係者よ」

そう返せば、ティナは双眸を細めて続きを促した。

「ベーカー街へ引越しして男二人と住んでいるいう情報も」

どこまで嗅ぎつけたんだ。しかし不思議なことではない。
ティナの恐ろしさは今に限られたことではない。
学校中の噂やゴシップ、秘密を握っているのは他でもないティナだった。
それに彼女は刑事だ。
シャーロックは警察署では有名かもしれない。
アリスは店員が運んできたコーヒーに口をつけて落ち着こうとした。
落ち着かなければティナの包囲網からは逃げられない。ティナはさらに攻撃に出てきた。
口元を吊り上げてその名を口にする。

「シャーロック・ホームズ」

やっぱり知ってた…!
アリスは動揺しないように顔を引き締めた。

「誰、それ」

「そんなこと言わせないよ?アリスと住んでる人だよ」

アリス、とティナは優しく名前を呼んだ。
ぶるり、と震え上がる。
アリスは項垂れて拷問には耐えられそうにないと諦めたのだった。





×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -