Trust relationship


「アリス、今後のことだが」

シャーロックは一度言葉を切った。
とても真剣な顔になるアリスを確認して再度彼は口を開いた。

「2つの集団はきっとまだ君を殺そうとするか――或いは守ろうとするだろう。
守ろうとしてくれる集団がいるのは心強いが危険な宗教集団であることは変わらない。
警察に任せても同じ結果を生むに違いないのは明白だ。ジョン何だ?」

小さく挙手したジョンは咳払いをしてシャーロックへ問いかけた。

「守ろうとしてくれる集団とコンタクトはとれないのか?」

いや、とシャーロックは顔を渋らせる。

「仮に守ろうとする集団の一人と接触できたとしても
殺す方の集団とあまり見分けがつかない。それに――何だ、ジョン」

「君は今2つと言ったが3つではないのか?」

アリスはうんうん、と頷いた。
確かに以前シャーロックはその口で3つのグループがいると推理した。
だが今は2つという。一体、なぜか。
シャーロックは話を遮られたことによりちょっぴり不機嫌になりながら話し出した。
まるで「今から話すんだよ、頭の鈍いヤツめ」と言っているようなそんな顔。
自分の解釈は間違ってないように思える…。

「守ろうとする側も危険だって言いたいのさ。守る側は何らかの宗教的な意味で傷つけずにアリスを誘拐しようとしている」

成る程。だから2つということになったのか。ジョンは納得したことを示すように頷いた。
まだシャーロックは何か考えを隠し持っている。
長く付き合っているからかジョンは何となくそう直感した。
しかし全て自分の考えていることを表に出すシャーロックではない。
確証を得られるまでは完全には自分たちには話さないだろう。

「それで一時的にここへ引っ越すことになったのよね?」

アリスは缶のクッキーをサクッと一口食べた。

「ああ、そうだ。僕とジョンなら安心ってわけさ」

気取ってそう言うシャーロックにアリスはクスッと笑い「最初に比べたらね」と言った。
確かに最初は酷いものだった。信頼なんて言葉は皆無。
初対面の人間に警戒心を持つのは当たり前だがアリスの場合は他の人間と比べものにならないほど警戒心が強かった。
シャーロックが最初に睡眠薬で彼女を眠らせ推理した通りである。
それが今ではどうだろう。この通り紅茶を手に談笑できるくらい仲良くなった。





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