探しものはどこ?

この街へは何度も訪れている。ずっと、ずっと。
兄のような存在であるクリスの傍にいたくてユウキは小さいときから
彼と彼の妹クレアと生活をしていた。
今はラクーンから離れた街から学校へ通っているが。
ユウキという名もクリスがつけてくれた。
親ではないし血縁者でもないが兄のようにユウキはクリスを慕っていた。
クリスとはここのところ連絡が取れていない。

「無事、なのかな…」

先ほど学校で別れたジェニファーの安否も気になる。
何が起こっているか分からない今では尚更不安だった。
コンクリートを濡らす赤黒い液体からは目を背けたくなる。
何か良くない、危険なことが起こっていることは明白だった。
脳内を占める“猟奇事件”というワード。良くない噂は学校でも出回っていた。
もしそれが本当なら――。
ジェニファーを探さなければ。他の友人たちも。
車道へ無造作に停められ、ドアが開けっ放しのパトカーを見つけ
ユウキは助手席へ回り込んで探った。
その中からグロックを取り出し、弾倉を確認する。
幸運なことに銃弾は十分にある。いつ使うか分からない。
ユウキは顔を引き締め、セーフティを外した。

「道に迷わないようにしなきゃ」

それが心配だ。
記憶の中の彼女の家への道のりを思い浮かべる。
感覚でも今は進むしかない。








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