変わり果てたもの

ゆらりとする視界にユウキはもう一度目を閉じてまた開けた。
キーンとした耳鳴りに後からやってくる頭痛に思わずくぐもった声を上げる。
頭を抑えながら痛みに悲鳴を上げる体を起こし、辺りを窺った。
オレンジ色の炎と大きな鉄の骨組みが目に入り、そしてコンクリートの地面を濡らす液体へ視線をやった。
ガソリンだと理解するとほぼ反射的にユウキはコンクリートの地面を蹴って飛んだ。

ドォーン

爆風が体を飛ばし、地面へと叩きつけられた。
気を失いそうになるが何とか意識を保ち、地面に手をついて立ち上がる。
黒く空へと立ち上る煙に咳き込みながら脳内の記憶を辿る。
学校から帰ろうとしていた。
ユウキはわざわざラクーンシティ外の街から学校へと通っていた。
ジェニファーと別れていつものバスへと乗り込み、そして――。
ユウキは顔を歪めた。そこから先の記憶が全くない。
バスが事故を起こしたのは間違いないだろう。
死体が燃える酸っぱい匂いに胃がキリキリと痛み、吐き気が込み上げる。
パンツのポケットを探り携帯端末をつけるが圏外だ。
悪態をつきながら携帯をポケットへと捩じ込み、辺りを見回して目を見開く。

「oh my…どうなってるの…」

ユウキが見たものは変わり果てた街の姿だった。








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