信じること
とても長い時間が経ったように思えた。
微かな音にユウキは目を開けた。うっかり眠りかかっていたらしい。銃に手をやったが部屋に異常はない。
ベッドに視線を落とすとシェリーが目を開けてこちらを見ていた。
「ごめんね、ちょっと寝ちゃったみたい」
「ううん…ユウキ疲れてそうだったから大丈夫」
「ごめんね」
自身の頬の辺りをペタペタと触れてみる。
無意味な行動であることは勿論わかっていた。
「ユウキってば謝ってばかりね」
「あ、ごめ…」
慌てて口を抑えたがシェリーはほんの少し声を出して笑った。
自分よりも明らかに年下に指摘されるとは何だか恥ずかしい。それこそ威厳がない。
つられて照れ笑いを浮かべる。
「さっき守ってくれてありがとう」
さっきというのは脳剥き出しの怪物――リッカーから運良く守れたときのことだろう。
随分長い時間が経っているように思えたがさっきはさっきにあたるらしい。
「ううん。レオンとクレアみたいに強かったらなって思うけどでも私、ちゃんとシェリーを守るから」
「うん」
シェリーが引っ張るままにユウキはベッドに横になった。
顔を見合わせ、息をつく。
「クレアたち…まだかな」
その声は不安そうだった。
一人が好きというのはきっと嘘。シェリーは寂しいのだ。
ユウキはシェリーの背中を撫でた。
「きっと外でたくさん戦ってる」
シェリーは不安そうにユウキを見上げてきた。
そしてシェリーもまた痛みと――見えない恐怖と闘っているのだ。
真っ直ぐ見つめ返し、笑った。
「でも2人はすっごく強い。一緒にいた私はわかるの。だから私を信じて?私が保障する。2人はさっさと怖いのをやっつけてお薬探して帰ってくるよ」
「うん、ユウキを信じる」