お嬢さん、巨大アリゲーターの鞄はいかがですか


「死んだフリか、可愛いね」

レオンのそんな冗談にユウキは思わず笑ってしまった。
そしてレオンには悪いがユウキはあまり可愛くないと思う。
好みが合わないのかも。なんて一人思ってみる。

「どこがよ」

クレアが呆れた様子でそう答えた。
爬虫類、両生類は確かに女性にはあまり人気じゃないだろう。ワニや蛇のバッグは一部の奥様方に人気みたいだが。

「何個分の鞄になるかな…」

「100個くらい?」

ユウキの呟きにレオンは適当にそう返した。

「ご婦人たちには人気だろうね」

溜息をつきながらクレアは2人の冗談にそう返した。

「ゾンビの婦人たちには人気でしょうとも」

そう付け足したユウキに向かってクレアは片眉を上げた。
あ、マズイ。調子に乗って言いすぎたようだ。肩を竦めてみせればレオンは「そのゾンビの婦人たちの為にさっさと永遠に眠ってもらおう」と締め括った。
銃弾を何発か撃ち込み、レオンたちは取り敢えず角を曲がって逃げた。すごい勢いで追いかけてくるワニ。
突っ込んでくる怪物に3人は壁に身を寄せ、逃げた。

「やばかったな」

レオンに引っ張られていなければ絶命していたに違いない。ユウキは青ざめた顔で頷いた。
後ろを振り返りながら走ったがワニは追いかけてこない。怪訝に顔を見合わせるレオンとクレア。
角を曲がろうとすればワニは食べるために再び突っ込んできた。間一髪その攻撃を避け、再度走り出す。

「なんてやつだ!」

立ち止まってまた攻撃を開始する。攻略策はないだろうか。
ユウキは発砲を止めて辺りに視線を走らせた。ワニの脇に丁度あるオレンジ色の…

「あのガスボンベは!?」

「ナイスだ!」

レオンはそう叫び何発かガスボンベの鎖に向かって銃弾を撃ち込んだ。
鎖が破壊されガスボンベが転がる。その転がったガスボンベをワニは素早く咥えた。

「今よ!ガスボンベを撃って!」

そう叫んだクレアの声を合図にレオンは迷うことなく引き金を引いた。
銃弾はガスボンベに命中する。爆発し、ワニは今度こそ倒れて動かなくなった。

「やった!」

ユウキは思わずクレアと手を合わせて喜んだ。

「今度こそやったな…シェリーはまだ遠くに?」

喜ぶ暇もなくレオンはそう問うた。
きっとあの子はまだ遠くには行ってないだろう。

「大丈夫よ。私たちが味方だと分かったはず」

クレアは息をつきながら緊張にまた顔を引き締めた。
しばらく歩いているとシェリーと合流することができた。しかしやはり喜ぶ暇などなかった。
時間の猶予もない。シェリーが突然苦しみ出し意識を失ってしまったのだ。








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