happening,happening!big happening!


正直彼女を庇いながら化け物を退けることは難しかったし成功する確率はゼロに等しかった。
それでも彼女は何としてでも守りたかった。その気持ちがあってだろうか。どうにか退けることに成功した。
奇跡としか言いようがない。クレアは時折、ユウキが無事であるかどうか確かめる為にレオンを振り返っていた。
その度にレオンはライトで行く先を照らしながらおぶっている彼女が無事であることを主張した。
彼女はあれから目を覚まさない。あの怪物に何かされてから…。
途中何度もハプニングがあった。暗くて冷たい薄気味悪い下水道だ。予期せぬことがあるのは当然だろう。
ゾンビはもちろんのこと、大きなカエルのような化け物、大きな蜘蛛、そして大きなゴキブリ。
ウィルスに感染すると肥大化するのか。レオンは軽く悪態をついた。
もう一つ最悪なハプニングが発生。レオンは「悪い冗談だな」と呟き、嘲笑を浮かべた。
梯子を登った途端これだ。先ほどの大きな軍服を身に纏った大男が待ち構えていた。
レオンは急いで鉄格子の扉を閉めたがヤツはひと思いに軽々蹴破ってみせた。どうやら交戦するしかないようだ。

「もう足止めするしかない!」

レオンとクレアはヤツ――タイラントの頭に何発もの銃弾をお見舞いした。
何発か撃つとタイラントは膝をつき怯んだ。その隙にレオンとクレアはタイラントを振り切った。

「見ろ、明かりだ」

レオンはライトを消して言った。今まで暗闇で視界が悪かったがこれで視界は良好だ。
ホッと息をつく間もなくゾンビたちが唸りながら浮上してきた。

「ここも化け物だらけ」

クレアがそう呟くのが聞こえた。粗方片付け、顔を上げるとシェリーの姿が確認できた。
声を掛けるや否やシェリーはすぐに悲鳴を上げて去ってしまう。
無理もない、この状況だ。小さな女の子は恐怖に怯えている。レオンとクレアは慌てて後を追った。

「シェリー!待って!」

邪魔するように化け物たちが次から次へと襲いかかってくる。
面倒な奴らだ。レオンは確実に仕留め、クレアと後を追う。開きかけの扉を開けると視界が広がった。処理プールだ。
見渡すがシェリーの姿はどこにもない。背中が熱い。ユウキは大丈夫なのだろうか。
レオンは背中にぐったりしたままの彼女が気になって仕方なかった。

「どこに行ったの?」

クレアと顔を見合わせ、慎重に歩き出す。

「待って」クレアの声で踏み止まりプールの中からまたあのカエルの化け物が飛び出してきた。
すぐにレオンとクレアは弾丸を撃ち込み対応した。

「動くな!」

女の鋭い声にレオンとクレアは銃を構えたまま振り返った。
背後の気配に気づけなかったとは。レオンは苦く笑い、銃を片方の手で構え直した。そろそろおぶっているのもキツい。

「狙いは何?」

白衣を着た女が隙もなくこちらに銃を向けている。
女はあからさまな敵意をレオンたちに向けていた。そこで怯むレオンたちではない。

「狙い?」

怪訝そうにクレアが女の言葉を反芻する。

「生きてこの街から出ることだ」

レオンは正直に答えた。
それ以外に目的などあるか、と心の中で突っ込んでおく。大体人間同士が銃を向け合っている場合ではない。
ただでさえ脅威はあちこちに潜んでいるのだ。それをこの女は理解しているのだろうか。

「今の状況わかってる?銃を向け合う場合じゃないわ。街はもう壊滅的よ」

説得するようにクレアはそう言った。丁度レオンも考えていたところだ。
レオンは同意するように頷いた。

「だから?」

クレアとレオンは目を剥いた。この女は何を言っているんだ?
流石に微塵も理解できずレオンは困惑した。自分の命が惜しくないのか。

「お願い、時間がないの」

クレアは急かすように言った。こうしている間にもシェリーは…。
レオンは祈るように女を見つめた。
女には何か別の隠し事があるように見える。気のせい、だろうか。

「女の子を見なかったか?10歳くらいで名前はシェリー」

女はようやく銃を下ろした。女の顔に僅かな動揺が見て取れる。
さすがに小さな女の子を出せば女も理解してくれるだろう。

「シェリー?」

「知ってるの?」

まるで知っているかのような態度にクレアは聞いた。

「私の娘よ」

レオンとクレアは驚きを隠せなかった。

「え!?」









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