孤高の猫と強がる子犬


ユウキ・ブラック。何の取り柄もない普通の一般人。
いいや。この娘が知らないだけでこの娘には十分な希少価値がある。
彼女にどうやら警戒されているようだ。エイダはすぐにわかった。そして彼女のキャラクターはよく掴めない。
戦闘能力はけっして高くはないが危険ではないと言い切れない。

「ここから先は貴方一人で行動してほしいのだけど」

どうする?と首を傾げてチラリと彼女を見遣れば、ユウキは「構いませんよ」と返した。
嘘つき。エイダは薄く微笑を浮かべた。本当はとても怖い癖に。手が小刻みに震えているのがエイダには見えた。
自分は訓練やらで心身を鍛えていて平気だが彼女は違う。こういったことに不向きであるし素人だ。
強がって見せる彼女の勇気に免じてエイダは懐からサブマシンガンを取り出した。この武器は極めて軽量、そして照準のブレも抑えてある。
素人に扱いやすい銃器だ。怪訝に見つめるユウキにエイダはそれを差し出した。戸惑いながら受け取る彼女にそのまま構え方を教えてやる。

「いい?引き金は遠慮なく引き絞り続けなさい。弾数の心配をすると反対に死ぬことになる。倒れるまで絞り続けるのよ」

こくんと素直に頷く彼女にエイダは微笑んでみせる。

「いい子ね」

予備のマガジンを手渡し、エイダは駆けた。背後で「気を付けて、エイダ」と聞こえ笑みが漏れる。
心配なのは向こうの方だというのに。他人の心配よりも自分の心配をしなさい、そう言ってやりたかったが素直に受け取っておくとしよう。
彼女なりの強がりを。彼女なりの心を。
さあ、ここから先は“子ども”が知るべきではない。私の任務を始めましょう。エイダは笑みをしまい、足を動かした。








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