“まさかこんなところで貴方に会えるなんてね”

そう言われた。呟くように言われたが確かに彼女――エイダ・ウォンはそう言った。
まるで自分のことを知っているかのようなそんな口調に違和感もそうだが疑問も感じていた。
なぜ自分のような小娘のことを知っているような風に。
エイダ、それを追いかけるレオン、仕方なく後をついていくクレアとシェリーの後ろを歩きながらユウキは考えることに没頭していた。
この街に異変が起きてから何だか自分の周りが不思議な“縁”に繋がれているような気がしてならない。
その“縁”はこの先も続くような強いもので何がそう考えさせる材料となっているのかわからなかった。

「クレア、2人をこっちに来させるな」

角を曲がればすぐにクレアはユウキの体を押して先へ進むことを止めた。
一瞬目に入った鉄格子、散らばった血のような…ユウキは口許を押さえて込み上げてきた吐き気をどうにか飲み込んだ。
あの光景をシェリーとユウキのような子どもに見せたくないからレオンは配慮してクレアに言ったのだろう。

(でもあたし子どもじゃない…)

ユウキは口許を手で押さえたまま顔を顰め、クレアから顔を逸らした。
心配そうな視線が注がれるのを感じながらユウキはコンクリートの壁を睨んだ。
留置所へやって来たのだ。その留置所の破られた鉄格子の中で死んでいた男は果たしてエイダ・ウォンの捜している男なのだろうか。








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