変化

「2人とも無事!?」

部屋に入ってきたクレアはユウキとシェリーを抱き締めた。
安心して力が抜けそうだ。ユウキはクレアから少し離れ「先急ご」と言った。

「ええ、シェリーを守ってくれてありがとう」

「ううん、幸運だっただけ」

そう。シェリーに傷一つないのは幸運だっただけだ。
守りきることができるという保障はない。
先ほどだって間一髪であの脳が剥き出しの怪物に立ち向かうことができ、尚且つ倒すことができたのだ。
運は続かない。次に対峙したとしたら自分は犠牲になるだろう。
一緒にいたシェリーも餌食になっているに違いない。

*

レオンの斜め後ろで警戒を始めるユウキにクレアは首を傾げた。微かに感じる違和感。
それを拭い去ることはできない。
ここへ来るまでに何かあったのか。はぐれる前は怖がって後ろにいたが今はこうして堂々とレオンの斜め後ろのポジションについている。
この心の変化は一体何だろう。何か一つの使命感に燃えるような、死に急いでいるような。

「…大丈夫か?」

レオンが心配そうにユウキへ向かってそう問いかける。
2人の後ろ姿しか見えないクレアは2人がどんな表情でいるのかわからなかった。

「はい、大丈夫です」

「汗がすごいぞ」

「…気にしないでください」

ユウキの声に震えを感じた。体調が良くないのか。
しかしこの状況で元気になれと言う方が無理がある。
この街を出たらレオンにユウキを委ねてクリスを捜しに行こう。
きっと彼女はクリスのことを心配して一緒に行くと言うだろう。しかしユウキには休息が必要だ。
反抗するユウキをレオンに任せてクリスをさっさと見つけ出し連れて帰る。
そうすればきっと平穏が訪れるだろう。クレアはそう信じて疑わなかった。







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