like a child,not a child
先ほどから傷口が酷く痛む。
幸い濃い色のパーカーを着ているおかげで血は目立たない。血が目立てばシェリーが怯えてしまう。
しかし…
「痛…」
なかなか血が止まらない気がする。頬は掠り傷程度で血は固まったものの腕の方は一向によくならない気がした。
止血剤がせめて手元にあればいいのだがそんな幸運なことはあるはずがなく。
ハンカチで腕をキツく縛ってあるものの腕が痺れて感覚が薄れてきている。
まさかあの爪の攻撃に当たれば徘徊しているヤツらのようになるのか――?すぐにその恐ろしい考えを打ち消した。
怖い、あんな化け物になどなりたくない。小さく震えるシェリーの背中を摩りながらユウキはレオンとクレアの帰りをひたすら待った。
「早く…早く来て」
小さな呟きは自分の願いだった。結局はあの2人がいなければ自分は進むことは疎か何もできない。
「いつまでも…あたし子どもだな」
そう言って自嘲するように笑えば腕の中のシェリーは自分を見上げてきた。
この子より年上なのにカッコ悪い。情けない。
「ユウキは子どもじゃないよ…ユウキは私を守ってくれるもん」
抱きついてくるシェリーを抱きとめ、ユウキは頬を緩ませた。