溶解


口の中がカラカラだった。喉の乾きと鉄の味。
肌を差す緊張感、殺気、恐怖。休めない状況が続きストレスに耐えられなくなりそうだった。
それでも逃げる足は止まることがない。何がそうさせているのか。自分でもわからない。
ただ生きてこの街を出てことだけを考えていた。出た後のことなど考えていない。
考えられる状況でないからだ。今のこの状況で先のことなど考えられるほどの余裕なんてとっくに失せている。
しかし冷静さを欠いてはならない。常に臨機応変に考え、慎重に、なおかつ大胆に行動しなければ。

(こんな子どもに何ができるっていうの)

ユウキは皮肉っぽく笑みを零した。クレアとレオンは必死で生きようとしている。
自分はどこか冷めてしまっているのだろうか。それとも諦め始めているのか。

「ユウキ」

「…え?」

「心配しなくても君は俺が守るさ」

酷く安心する言葉。たった一言。
彼だって大人とはいえ恐怖でどうにかなりそうなはずなのに自分に向けてくる微笑。
そして頭を撫でる汚れているけれど温かい手。
思っていたよりも自分は精神的ショックを受けているのだ。友だちを手にかけたことにより。

「大丈夫よ、ユウキ。私もついてるわ」

心強くて優しいクレアの真っ直ぐな瞳。やはり2人は自分より年上なんだなと感じさせる瞬間だった。
ユウキは突っ張る頬と口許を無理矢理吊り上げ笑みを浮かべて頷いた。









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