殺ラレル前ニ殺セ


「ジェニファー!」

女の背中に向かってユウキは声を張り上げる。
他のゾンビに見つかってしまっても構わない。そこに彼女がいる。
探していた友人がいる。それだけでいいのだ。

「ジェニファー!」

再度呼べば彼女は立ち止まりゆっくりとよろけながら振り返った。
違和感を感じ立ち止まる。
違う、彼女じゃない。口の周りにべっとり付いたケチャップのような赤。
ふるふると首を横に振った。違う、違う。彼女じゃない。
こんなの彼女じゃない…!

「ちが…う…」

「ぐ、ぁああ」

だらりと垂れたがこちらへと伸ばされる。
いいや、間違いない。彼女だ。ジェニファーだ。
遅かった、もっと自分が早く捜しに行けば。ギュッと掌を握ろうとし固い感触がした。
利き手には銃が握られている。それで殺せばいい。
なのに持ち上げて構えることさえできない。殺さないと殺られるのはこっちだ。







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