白兎を追いかけて | ナノ



「うっわ、見渡す限り山やないの〜っ!」


四天宝寺男子テニス部。

バスに揺られること一時間。たどり着いたのは山ばかりのド田舎地域。

本日は部員全員でへ合宿にやってきました。


「ちゅーかなんで山やねん」

ほんまにここ、テニスコートあるん?


「アホ、ちゃんあるわ。顧問を信用しぃや」

「顧問っちゅーてもなぁ。オサムちゃんじゃ信用できへんやろ痛!


突如炸裂、オサムチョップ!

「ななな、なにするんねん」


仮にも乙女やで!

…いや、仮やない!リアル乙女や!


顔に傷でもつけたら損害賠償モンのリアルな乙女や!


「なにぶつぶつ言うてん。このバスに金色以外乙女は一人も乗車しとらんわ」

「ウチがおるやん」

「花風は百歩譲って獣のメスやな」


「………っ!謙ちゃーん!オサムちゃんが乙女のハートをずたずたにしよった〜!」


「な、なんやと!それはアカンな」


後ろの座席にいる謙也へ泣き真似をして見せる。
やっぱウチの部員はアホやから、本気で心配して立ち上がった。


「オサムちゃん、なんしよんねんっ!野生かて思うくらいごっつ逞しいけどな、そこらへんの男は相手にならんけどな、それでも…!仮にも!柚は女なんやで!」

「…っちょ!なんやねん謙也まで!もうええわ!」


ほんまこいつらはウチを怒らせることしかしきらんのか!

やっぱあんたしか味方はおらん!


「(ウチの愛しの)蔵りーんっ、ムサい男共が苛めんのや、助けてやー!」


謙也の横におるのは今世紀最高の遺伝子を持った最強プリンス!


「お菓子は500円以内て言ったやろ!
毒手喰らわすで!」


けちょんけちょんに部員全員に説教を始める我が部活動のキャプテン。


「なんや、柚も500円以内に収まらんかったて?ピクニックやあらへんのやで〜」



いや、ちゃうし。



星は僕達を嘲笑う
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