目を覆いたくなるような現実。
俺は絶望した。
愛しくてたまらない彼女が、他の男の腕の中にいて、熱い口付けを交わしているからだ。
「蔵、待って、これは…!」
「もうええよ、柚。何も言わんでええ」
「ちゃうねん!蔵…っ」
泣いて、否定する柚。あぁ…俺はまた柚を泣かせてもうたな。
「別れよか」
「……っっ!」
「限界、やねん。財前とキスしとる写真送りつけられて、…それでも俺は柚を信じよう思っとった」
「っ、写…真…?」
「コソコソしよる思うたら、これか」
「ち、違う!」
もう否定せんでええ。
俺が、惨めになるやんか。
「今まで、ありがとうな」
愛と解いた落涙
- 253 -
← | →