白兎を追いかけて | ナノ




目を覆いたくなるような現実。

俺は絶望した。



愛しくてたまらない彼女が、他の男の腕の中にいて、熱い口付けを交わしているからだ。




「蔵、待って、これは…!」

「もうええよ、柚。何も言わんでええ」

「ちゃうねん!蔵…っ」


泣いて、否定する柚。あぁ…俺はまた柚を泣かせてもうたな。



「別れよか」

「……っっ!」

「限界、やねん。財前とキスしとる写真送りつけられて、…それでも俺は柚を信じよう思っとった」

「っ、写…真…?」

「コソコソしよる思うたら、これか」

「ち、違う!」


もう否定せんでええ。
俺が、惨めになるやんか。



「今まで、ありがとうな」





愛と解いた落涙
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