四天宝寺一かっこいい人と言ったら、みんなは迷わず彼を指差すだろう。
四天宝寺一モテる人と言ったら、みんなはすかさず彼を指差すだろう。
その名も白石蔵ノ介。
ウチの叶わぬ片想いの相手でもある。
「なっ!頼むわ、柚!」
そんな、彼が今。
「今日の調理実習のお菓子、是非とも俺にくれへん?」
手を合わせてウチに拝んどる。
ウチは朝のおやつとばかりに苺つぶポッキーをボリボリ食べていた。
調理実習?そんなん今日あったんか?
…あ、あったかも。
「…別に、ええで?」
むしろウチがあげたいくらいなんやから。
「ほんま!?お――きにっ!絶対やからな、約束やで!」
わっしゃわっしゃと頭を撫で荒らされて、一瞬でウチの頭は荒れ地になってしまった。
まぁ別にそんなことは気にならへん。気になるといったらあれやな、ウチに羨ましげな視線をガンガン送ってくる女子の威圧感。
「柚のお菓子は世界一や。あ―…ほんま楽しみ」
「おおきに。楽しみしとってや〜」
…やっぱそれもどうでもええかも。
(だって蔵が嬉しそうに笑ってるんやもん)
ねぇ、なんでやろ、蔵。
蔵が笑うとウチも自然と笑みがこぼれてしまうんわ。
胸がきゅってなって、嬉しくて嬉しくて仕方なくなってしまうんわ。
好きや、好きや、大好きや。
仕上げは愛を飾り付け
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