白兎を追いかけて | ナノ


光くんは、いつもいつもウチの応援をしてくれていた。

蔵に告白する勇気をくれたのも背中を押してくれたのも、支えてくれたのも光くん。ウチが辛いときは誰よりも傍にいてくれた。
生意気やけど可愛くて、口はちょっと悪いけど優しくて。ウチの気持ちを一番に考えてくれる男の子。

光くんは、蔵との恋をあんなに応援してくれていた。
光くんは、蔵との交際をあんなに祝福してくれていた。


………なのに、


「な、んで?」



なんで、どうして…キスなんてしたの?


「今言うたでしょ、柚先輩が好きなんやって」

「嘘、…嘘だよ」


そんなの、嘘に決まってる。

でもなしてかな。光くんのこの顔知ってんねん。謙也を苛めてるときとは違う、テニスしてるときの真剣な顔。

今なして、その顔をしてるん?


いつもみたいに嘘ですって、柚先輩に恋はできませんわ!なんて言ってよ。今なら、許したるから。


「こない俺は我慢してたんです。気持ちを押し殺してました。なして嘘を言わなあかんとですか?」

「光くんは、蔵との恋を応援してくれてたやない…、」


「柚先輩が幸せならそれでええって思ってたんです。せやけどそれは、自分に言い聞かせてるだけやった」


「ひ、かるくん…?」



そんな…、有り得ない。

あの光くんが、ウチを好きやなんて。何かの間違いであってほしい。




秤にかけた愛と嘘
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