白兎を追いかけて | ナノ








所変わって海水浴inバーベキュー。

バーベキューも終盤のよう。


「げ、もう肉ないやんけ」

「遠山が食い過ぎなんスわ」


肉焼き係の謙也さんの隣に俺。俺は決して一枚も焼いていないんやけど。


「にーくー!にーくー!わいはまだ食い足りんでーっっ!」


「…だそうです謙也さん」

「俺に言われてもどうしようもないがな!」


二人揃って監督を睨みつけてやると、参った参ったと言わんばかりに溜め息をついた。


「…しゃーないわ。アレ、出すしかないんやろ」

「「アレ?」」


「ちょー西の忍足、あの冷凍ボックスの中身持ってき」

「わざとか!普通に呼ばんかい!」

「ハッハー堪忍堪忍。とりあえず持ってきぃや」



謙也さんがしぶしぶ冷凍ボックスの中身を開ける。そういや最初にこれ開けようとしたらごっつ「あかん!」て言われたような…。なんて謙也さんはぶつぶつ呟きながら取り出した。


入っていたのは高級そうな肉。


「なんやこれ」


「シャトーブリアンや」

「「「ええええええええええ―――っっ!?」」」


監督まじでなにがあったんやねん。革命か。革命でも起きたんか。

みんなは一斉に驚き、そして一斉に焼き始めた。どうやら早よ食いたいらしい。



「せや、白石と花風が食われへんやったら可哀想や」あー柚先輩は悲しむやろなぁ。泣き寝入りでもしてまいそうや。



「ちゅーわけで、呼んで来てや。ざーいぜん」


「は?」


俺っすか。



夏を攫った紅い風
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