白兎を追いかけて | ナノ


昨日は蔵にしでかされた。寝ぼけているわたしを上手く扱ってあないな恥ずかしいことを……!

ああ、思い出すだけで恥ずかしい。ウチはとてつもなく不甲斐ないことをしていた気がする。
穴があったら入りたい!穴がなくとも掘りますから、とにかくウチを隠して下さい!ってかもう埋葬して下さい!


「ふぬおぉおうぅぅ」

「なに吠えてるんすか。…あぁ、交尾前の発情期ってわけですか」

ドガッ!


「光くんってほんまウチ怒らせるの得意やね〜。さすが天才と言われるだけあるわぁ」

「俺の腹にタックルしてくる女なんて柚先輩ぐらいっすよ。……痛い」


独り言のように呟きながらお腹をさする光くんは全然痛そうやない。筋肉にしっかり守られとるくせによう言うわ。


「悩んでるんかよう分かりませんけど柚先輩、変な顔してますよ」

「は?変な顔?」

またどうせブスやとかブスやとか言うんやろ!この生意気坊主め!


「困ったようににへにへ笑ってますで」

「え、え?嘘?」

ウチ、にやついてたんか?
ごっつ恥ずかしいんやけど…!


「要するにきしょい」

「もっかいタックルしたろか?ん?」


嬉しい悩みなんかな、…うん、そうやんな。蔵が隣におってくれるからこそ持てる悩みなんやから。


「先輩、幸せそうですね」

「え?あ、うん!もちろん」

「…よかったですわ」

「まぁ、幸せになれたんも光くんのおかげなんやけどね」


光くんが何度もウチの背中を押してくれたから、ウチは勇気を出すことができたんや。


「…そうですね」

「そこちゃいますって言うとこやアホ」



…ウチは、幸せです。



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