白兎を追いかけて | ナノ




付き合ってまだ間もないけれど、ウチらはラブラブだ。

そして蔵は変態だ。


「んーっエクスタシー」


蔵はウチが早起きをして作って来たお弁当を食べながらにそう言った。


「…普通にウマいって言ってくれへんかな」

「こんなエクスタシーな弁当は食べたことないで。卵焼きテクっとるなぁ」

「いや、普通やて」


それでも美味しそうに食べてくれている蔵を見ていたら、何だか笑みがこぼれた。

自分が作ったものを美味しそうに食べてくれる人がいるって、幸せや。


二人だけの昼休み。

結衣は他クラスの彼氏のところへ行かせた行ってくれた。

謙也は光くんのところへ逝かせた行ってくれたみたいや。

空気読んでくれるめっちゃええ友達や。



お弁当を完食したところで仲良くごちそうさま。

ウチらは机を向かいにして二人の世界に浸りまくる。

っていってもここは教室。公共の場や。

ウチにも世間体とかあるし、お触りは勿論ちゅーはもっての他。


「なぁー柚」

「んー?」

「赤味噌と白味噌、どっち派?」

「そらー…赤味噌かなぁ」


ってかこの会話なんやねん。

なんでそないに真剣な顔して聞くんやね「俺もや!」




…………え?は?


なして声張ってるん。
なして身乗り出してるん。

なして…手握るんですか。


「なんですか…白石くん」

「俺も赤味噌派やねん」

「ふーんそう。それが?」

「一緒やな」

「…、一緒やね」

「俺のために毎朝味噌汁を作ってくれへんか?」

「………はい?」


蔵のために、味噌汁を?

なーんかその台詞、どっかの漫画かなんかで聞いたことがあるような……。


「あのー…白石くん」

「ん?」

「今の、なん?」

「え、分からんの?」

「プロポーズ…とか?」

「おん」



キラキラと目を輝かせる蔵は、純粋な瞳をした少年のよう。

しかし口にするのは変態発言。


ギャップ萌え!なーんてワケあらへん。



「ねぇ蔵、真剣に…アホ?」

「え」




とある二人の恋愛予想図
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