白兎を追いかけて | ナノ


―――……



ジリジリとした太陽が暑い。

暑いのは嫌いや、運動も嫌いや。

せやけど何故かスポーツテストは女子で飛び抜けて一位の花風柚です。

っちゅーか人はなんで走るん?

なんでそないに急がなあかんの、歩けや歩け。


んなこと今言うなや今!

「今日も突っ込み微妙やなー、謙也。あ、ほら3000メートルのタイムも微妙やったでホラ」


只今テニス部の朝練中。でもってウチはマネージャーとして部員の計測をしよるとこや。


「うぉっ!浪速のスピードスターがタイム落ちとるやて!信じられへん!」

「謙也は短距離派やん。仕方ないって」


「ちゃうわ!柚がめっちゃ暑そうに気だるそうに立っとるからや!そりゃ俺のやる気も落ちるわ!」

「低血圧やもーん。っちゅーか関係ないやろ」


気付けばもう三年生。

ウチがテニス部に入って一年半が立とうとしよった。


(……ほんま、早いなぁ。)


あれから変わったことと言えば、部活勧誘が少なくなったこと。

謙也とか、テニス部のみんなと仲良しになったこと。


………あとは、


「白石が通るときはニッコニコして“がんばりーやっ”て言いよったクセになぁ」


「…っ!」



ちょちょちょ謙也くん!そないなことは大声で言うもんやないで!


「次言ったら放課後のドリンクは赤に染まっとるからな〜」

「すんまっせんでした!」


土下座する謙也によし、と許しを出す。


ほんま…謙也はアホやなぁ…。






ハート型の視線の行方
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