白兎を追いかけて | ナノ

―時間は過ぎて、お昼休み。

優衣との楽しいランチタイム。…なんやけど、今日は徹底的なガールズトークになりそうや。


「薮内徹平て、知らんの?」

「え、うん」

隣んクラスみたいやけど、蔵以外の男の子なんて興味ないし。


「サッカー部の部長やで?かっこいいし、有名やん。まぁ白石くんほどやないけどね」

「ふーん」

「あからさまに興味ない反応せんといてくれるー」

「やって、蔵しか見えへんもん」

「…薮内徹平も可哀想に。好きになる相手間違えてんな」

「うわむっちゃ失礼」


でも、ほんまになんでウチなんやろ。

他にもっと、おるやろうに。


「あ、噂をしたら本人登場」

「へ?」


優衣が教室の外に視線を向けていて、それを追ってみると、教室の外に長身の男の子が立っていた。


「花風、ちょっといい?」

「え、あ…はい」


きっと、この人が薮内徹平って人なんやろ。
見たことある、かも。


ふと蔵を見ると、バチッと強く目が合ってしまった。


(…なんか、切なそう?)


いや、まさか。
ウチの勘違いやろ。


「頑張れ」


優衣の声が耳を掠めて、ウチはたくさんの視線を浴びる中、教室を出て行った。
- 81 -


|
戻る
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -