―時間は過ぎて、お昼休み。
優衣との楽しいランチタイム。…なんやけど、今日は徹底的なガールズトークになりそうや。
「薮内徹平て、知らんの?」
「え、うん」
隣んクラスみたいやけど、蔵以外の男の子なんて興味ないし。
「サッカー部の部長やで?かっこいいし、有名やん。まぁ白石くんほどやないけどね」
「ふーん」
「あからさまに興味ない反応せんといてくれるー」
「やって、蔵しか見えへんもん」
「…薮内徹平も可哀想に。好きになる相手間違えてんな」
「うわむっちゃ失礼」
でも、ほんまになんでウチなんやろ。
他にもっと、おるやろうに。
「あ、噂をしたら本人登場」
「へ?」
優衣が教室の外に視線を向けていて、それを追ってみると、教室の外に長身の男の子が立っていた。
「花風、ちょっといい?」
「え、あ…はい」
きっと、この人が薮内徹平って人なんやろ。
見たことある、かも。
ふと蔵を見ると、バチッと強く目が合ってしまった。
(…なんか、切なそう?)
いや、まさか。
ウチの勘違いやろ。
「頑張れ」
優衣の声が耳を掠めて、ウチはたくさんの視線を浴びる中、教室を出て行った。
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