謙也と話していると大分時間が経ったらしく、一組目の小春とユウジが帰って来た。
「で、出たで〜〜!」
「紅い着物の幽霊が出ちゃったのよ〜!」
「はぁ!?」
「ななななんやて!」
小春も一氏もガタガタ震えながらリボンを右手に帰って来た。
「ほんまに幽霊なん?」
「ほんまやて!出たんやねん!」
「紅い着物を着た髪の長ーい幽霊や!祠の近くで私らをずーっと見てるのよ〜〜!」
紅い、着物。
オサムちゃんが言いよった話とまんまやん。
四人でオサムちゃんを一斉に見ると、やっぱりいつものようにヘラヘラ笑っていた。
「あ、ほんまに出てしまったん?せやから言うたやろ〜、ここに残るほんまにあった話やて」
「なに暢気に言うてんねん」
「私ら呪い殺されるとこやったわー!」
呪い殺されるなんて大袈裟やろ。
ガシッ!
「呪い殺されるで!あかん!行ったらあかんで!」
………。
「謙也は幽霊信じてへんのやろ。ほんなら問題なしやろ」
「そ、そらそうやけど…!でも実際二人が見てるっちゅー話!」
広間の扉が開いて、二組目、三組目と肝試しから帰って来た。
みんなは口を揃えて言う。
「あ、紅い着物の幽霊やー!」
「ほんまに出たー!」
「紅い着物の幽霊が木の陰からじっと見てるんやー!」
こら小春とユウジの見間違いやないみたいやな。
「ししし白石、突然腹痛が、」
「ヘタレ、俺らの番や。行くで」
「ほんまに幽霊おるんやで!何しに行くねん!」
「幽霊見に行くんや」
「おまえ…何者やねん」
「部長が行かんのは威厳に関わるんや。
せやから行くで」
「ほんま…真面目やな」
その紅い着物の幽霊とやらの面を拝んでやらんとな。俺は謙也の首根っこを引っ張って肝試しに出発した。
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