一組目がスタートして、最終組の俺らはまだまだやから暇や。
畳の上に座ってふわぁと欠伸をした。
「なぁ、白石」
「なんや?」
いつになく真剣な表情で、謙也が言葉を掛けてくるもんやから欠伸も自然と止まってしまった。
「言ったよな、柚を捕まえるって」
「ん?…あぁ、言ったで」
「告らんの?」
「ん――…せやなぁ」
「柚が誰かに取られてもええんか?」
「アホ、絶対許せんわ」
「ほなら告らんと」
「せなあかんて思うてんけど、柚は多分俺のことを男て思ってないからなぁ…」
「は?え?なんでやねん!
(アホか!柚は白石を王子様、俺も含めて他はジャガイモ扱いなんやで!)なんの根拠を持ってそう言ってるん!」
やって……なぁ?
「俺ら抱き締めあったりするんやで」
「そんなん当たり前のスキンシ……、%&※○¥#◎!!!」
「なんやねんその反応」
「ここ、こっちの台詞や!なんやねんおまんら!恋人か!」
「友達やて」
立ち上がって奇声をあげるアホ一名。
…大袈裟やて。
「柚は俺んこと、お兄ちゃんのようにしか思っとらんのやないかって思ってなぁ」
「………。(そら大きな勘違いやて。
あー言いたい!柚の気持ちを俺がもう伝えてしまいたい!)」
「謙也?」
「(いや!そんなんあかん!そんな第三者が加入してくっついたってあかんっちゅー話や。やっぱこん二人には二人で想いを伝いあって欲しいねんもんなぁ…。って俺どんだけいいヤツやねん!)」
「なに一人でブツブツ唱えてんねん。ついに取り憑かれたんか?」
「アホ!んなわけあるか!」
「…で、浪速のスピードスターさんはどう思われます?」
「………頑張れや!」
…こいつに聞いた俺がアホやったわ。
もうちょっと気の利いた言葉はかけられへんのかい。
(…まぁ、ほんまに頑張るしかないんやけどな)
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