足音が近付く。
せやのに、ウチはしゃがみこんだまま。
っちゅーか…この体勢なんなん?
「花風さん、堪忍しぃやー」
「今日こそは我がバレー部に…!」
「見っけたでー!」
三人が捕まえたと言わんばかりに仁王立ちすると、その満足気な笑みは一気に崩れた。
「「「……。」」」
…というか揃って絶句。
三人の視界に入るのは、学校一のプリンスが顔の見えない女の子と抱き合ってる姿。
白石が振り返ると、三人とも赤面。
白石というその存在にも、この光景にも。
「あぁ…先輩すんません。今、お楽しみ中なんで、邪魔せんといてくれます?」
(うっ…わ、)
近い近い近い!
ウチの顔は白石くんの胸の中。
なんや…、なんやのこれ!
「あ…ご、ごめんね!私たち、花風さん探してて……!」
「決して邪魔するつもりやなくて…」
あれ?…お?バレてへんの?
よっしゃ!と心の中でガッツポーズをして、絶対ばれへんようにと白石くんの胸に強く抱きついた。
(早よ行け早よ行け――…)
っちゅーか、白石くんめっちゃええ人やん!
「花風柚なら見てないですよ?ここにいたのは俺と花子だけですわ」
っおい!花子てなんやねん!
もうちょっとええネーミングはなかったん!?
っちゅーか、ウチの名前……知ってたん?
そう思うと胸がほっこりと暖かくなった。
ほんま…、白石くんはプレイボーイやな。
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