白兎を追いかけて | ナノ


「…自分、なにしてるん?」

「………え?」


雪を踏む音がすると、美青年がウチを見下ろしとった。

あー…えっと、ウチこん人知っとるわ。


せや、テニス部ん人や。
勉強もテニスも出来るし、なによりこの顔。

四天宝寺一素晴らしい遺伝子を持っとるやろう。


(名前は―…確か、)

「白石なんとか介くん…」

「蔵ノ介や!なんとか介ってアバウトすぎるやろ!」

「たいして変わらんやろ」

「……まぁええわ。自分、あれやろ?噂の“スーパー少女”」


噂なのは白石くんの方やろっちゅーにん。

それにウチはスーパー少女じゃない。
花風柚って、ちゃんとした名前があるんに……。


まぁ、知るわけないやろな。


「ウチは今、…あれや。最近流行りのカクレンボや」

「いや、嘘やろ。っちゅーか流行ってないで」

「ウチん中では大ブームやねん。運命の王子様がウチを見つけ出してくれるんや」

「…寒いわ。そしてなにより心が痛いわ」

ぷいっと顔を背けると、白石くんは近寄って来てはしゃがみこんだ。


目線は、同じ。


(…うっわ、近くで見るとかっこよさ倍増やん)


みんながキャーキャー言うのも、分かる気がするな…。
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