蔵、怒っとるっちゅーより元気なかったなぁ。
なんか悲しいことでもあったんやろうか。
蔵が悲しいとウチも悲しいわ。
あー気になる気になる……。
蔵のことについて考えごとしよったら、いつの間にか何十枚もの皿を洗い終えていた。
部員は全員お風呂に入っとる。お風呂っちゅーか温泉なんやけど。
男女一緒やからウチは後から入ろうかなーって。
「いい風呂やったな〜」
「気持ちよかったわ〜」
続々に出て来る部員たち。
あれ?浴衣やん。
「光くん、なして浴衣なん?」
「あー、畳んで置いてあったんですわ」
「勝手使ってええん?」
「監督が使ってええんよー言うてたから大丈夫じゃないですか」
ウチが部員全員の浴衣を洗濯せなあかんやん…。
「温泉も気持ちええし、ほんま旅館気分ですわ」
いや待て待て。洗わなあかんデメリットもあれば、蔵の浴衣姿を拝見できるメリットがあるやないの!
「柚先輩、気持ち悪いんでジロジロ見つめんといて下さい」
「み、見とらんわアホ!」
年下んくせにウチより身長が随分と高い光くんを見上げる。
……あ、光くんピアスしてない。
お風呂上がりやから当たり前なんやけど、不自然やな〜。
「ピアス=俺っちゅーことですか?」
「ぅぉ!読心術!」
「…先輩が分かりやすいだけですって。思考回路丸見えですわ」
「………。」
…ウチ、分かりやすいんか。
- 41 -
← | →