白兎を追いかけて | ナノ


蔵、怒っとるっちゅーより元気なかったなぁ。
なんか悲しいことでもあったんやろうか。

蔵が悲しいとウチも悲しいわ。

あー気になる気になる……。


蔵のことについて考えごとしよったら、いつの間にか何十枚もの皿を洗い終えていた。


部員は全員お風呂に入っとる。お風呂っちゅーか温泉なんやけど。
男女一緒やからウチは後から入ろうかなーって。


「いい風呂やったな〜」

「気持ちよかったわ〜」


続々に出て来る部員たち。

あれ?浴衣やん。


「光くん、なして浴衣なん?」

「あー、畳んで置いてあったんですわ」


「勝手使ってええん?」

「監督が使ってええんよー言うてたから大丈夫じゃないですか」


ウチが部員全員の浴衣を洗濯せなあかんやん…。


「温泉も気持ちええし、ほんま旅館気分ですわ」


いや待て待て。洗わなあかんデメリットもあれば、蔵の浴衣姿を拝見できるメリットがあるやないの!


「柚先輩、気持ち悪いんでジロジロ見つめんといて下さい」

「み、見とらんわアホ!」


年下んくせにウチより身長が随分と高い光くんを見上げる。


……あ、光くんピアスしてない。

お風呂上がりやから当たり前なんやけど、不自然やな〜。


「ピアス=俺っちゅーことですか?」

「ぅぉ!読心術!」


「…先輩が分かりやすいだけですって。思考回路丸見えですわ」

「………。」


…ウチ、分かりやすいんか。
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