「うぉぉぉっ!むむむむっちゃ美味いやんかー!」
和室の広間にて、金ちゃんが雄叫びを上げた。
「ほんま?ありがと金ちゃん」
「柚ちゃんすごいわ!わい、こんなごっつ美味しい料理食べたこんないで」
「大袈裟やな〜、只のハヤシライスやん」
ガツガツと食べ進めるのは、本日の夜ご飯、ウチが作ったハヤシライス。
「ほんま美味いわ」
「さすがマネージャー!」
部員みんなが笑顔で食べてくれて、ほんま嬉しいわ。
「ぎょうさん作ったから、思う存分おかわりしてや〜」
「柚、ほんまええお手伝いさんになれるで!」
「先輩、ええお手伝いさんになれますわ」
「なんでお手伝いさんなん!お嫁さんやろ普通!」
謙也と光くんはおかわりなし。させてたまるか、このアホ共。
そんな中、静かにひたすらモグモグ食べ進めている美男子が一人。
「何杯目ですか、蔵ノ介さん」
「五」
「………。」
…食べ過ぎやろ。っちゅーかなんでこないに機嫌悪いん?
怒ってはるんかな?
ウチなんかしたんやろうか…。
機嫌が悪くなったのは、滝修行の途中からや。
「美味いわほんま。いいお嫁さんになるやろな」
「………っっ!」
いいお嫁さんよりも、蔵のお嫁さんになりたいです!
ってあれ?ウチには怒っとらんのかな?なんかあったんやろうか…?
一瞬、滝修行のときにジャージを持って悲しい表情を浮かべる蔵を思い出した。
あれは…関係ない、のかな?
- 40 -
← | →